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第384回 茶芸館(風俗喫茶)利用の違法性/台湾


ニュース 法律 作成日:2021年6月21日_記事番号:T00096806

知っておこう台湾法

第384回 茶芸館(風俗喫茶)利用の違法性/台湾

 台湾では、先月から新型コロナウイルスの感染者が急増し、新型コロナウイルス警戒レベル第3級(防疫レベル3)の状態が続いています。台北市万華区にある性的サービスを伴う茶芸館でのクラスター(感染者集団)発生が感染拡大の原因の一つとして考えられますが、今回は、このような性的サービスを伴う茶芸館を利用することの違法性について解説させていただきます。

客にも最高3万元の過料

 2011年11月4日改正前の社会秩序維持法(中国語「社會秩序維護法」)では、利得を意図して性的サービスを提供した場合のみが処罰対象であったため、性的サービスを提供する側は処罰の対象でしたが、客側は処罰を受けることがありませんでした。しかし、11年11月4日の同法改正により、後述する例外を除き、性取引に従事した場合および性取引を意図して客引きをした場合には、3万台湾元(約12万円)以下の過料に処すとされ、客側も処罰対象とされました(第80条第1号、第2号)。

 社会秩序維持法では、性取引について定義されていませんが、児童および少年の性取引防止条例(中国語「兒童及少年性交易防制條例」、15年2月4日廃止)では、性取引について、対価を伴う性交またはわいせつ行為と定義されていました。また、新法である児童および少年の性搾取防止条例(中国語「兒童及少年性剝削防制條例」)でも、性搾取の一つとして、児童または少年に対価を伴う性交またはわいせつ行為をさせることが挙げられているので、上記定義に変更はないと考えられます。そして、司法院の解釈によると、「わいせつとは、客観的に性欲を刺激しまたは満足させるに足り…一般人の羞恥心または嫌悪感を引き起こし、性的道徳感情を侵害し、社会風紀を損なう場合に限る」とされています。

指定区域内であれば合法

 社会秩序維持法第91条の1第1項によると、直轄市、県(市)政府は、土地の状況に応じて、自治条例を制定し、性取引に従事できる区域およびその管理を計画することができます。つまり、地方自治体が、指定した区域内であれば、合法的に性取引が可能ということになりますが、現段階では、そのような指定区域は存在しません。

 以上の通り、現段階では、台湾域内で合法的に性取引を行うことはできず、茶芸館(風俗喫茶)にて性的サービスを受けることは、いかなる地域においても違法となりますので、ご注意下さい。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

福田優二弁護士

福田優二弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

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