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【ワイズリサーチ】台湾プラスチック・ゴム機械業界における
構造転換の方針と手法〜技術面から論じる〜


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2013年8月22日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】台湾プラスチック・ゴム機械業界における
構造転換の方針と手法〜技術面から論じる〜

記事番号:T00062471

 台湾のプラスチック・ゴム機械工場は主に中小企業であり、業界名簿によるとその総数は約200社、平均従業員数は30人である。プラスチック・ゴム機械は、工場の90%が台南、台中、桃園地区に集中しており、それら地域の代表的産業にもなっている。台南地区の大手プラスチック・ゴム機械メーカーとしては、富強鑫集団、全立発機械、鳳記国際機械、樺欽機械、棕偉機械などが挙げられる。台中地区を代表するメーカーには台中精機、磬石油圧、鍑鑫プラスチック機械。そして桃園では是百塑、台湾震雄といったメーカーが事業展開している。製袋機メーカーは主に嘉義地区に集中しており、代表的メーカーには鼎坤プラスチック機械、光興プラスチック機械がある。この業界は、親族経営やそれに類似した長期的雇用関係を築く傾向にあり、某工場に協力工場が出来た場合、その協力工場は往々にして某工場の近距離に位置する。また、そうした協力工場や新工場の顧客基盤は、すべての工場でほぼ一致しているため、工場の集中現象が発生、産業クラスタを形成するに至った。だが、新工場の成立は元々狭い業界の競争激化を招くのではないかという懸念の声もあり、製品の分類、性能・品質の違いによる市場の区分け化を行い、低価格競争からの脱却と業界の統合を望む工場も存在する。しかしこうした取り組みを行う上で必要になる業者間の理解と合意を得るには、更なる意思疎通が必要である。

 地理・歴史的な事情で、台湾プラスチック・ゴム機械は日本と密接な関係を持ちながら発展してきた。メーカーもユーザーも、みな日本の技術を手本とし学んだ。日本と製造協力を行っている台湾業者もいる一方で、コストの削減のため、台湾から鋳造部品、機械加工部品、配線セット、ギアボックスなどを購入する日本業者もいる。

 2012年、プラスチック・ゴム機械の輸出額は0.75%増の13.49億ドル(約400億元)で、輸出量は57,199台に達した。輸入額は3.1億ドル(約92億元)で、輸入量は10,109台であった。台湾プラスチック・ゴム機械の産額は台湾機械業界において、工作機械に次ぐ第二位であり、82%の製品が輸出されている。その主要製品は、射出成形機、押出成形機、ブロー成形機、中空成形機及びその他の熱固定機である。税関の輸出統計データによれば、台湾のプラスチック・ゴム機械における輸出額の上位三位を占めているのは射出成形機(22%)、圧力/押出機(11%)とブロー成形機(7%)である。

 世界各国の同業者との競争に打ち勝つためには、汎用機械を製造するだけでは不十分である。台湾プラスチック・ゴム機械業界は製品の付加価値を高める必要がある。それには、広く人材を集め、研究開発を行い、工程能力を強化、高性能・高品質・カスタマイズ機械及び統合的システムを提供するほか、マーケティング能力とデザイン力を高め、官学の連携協力が重要となってくる。昨年、経済部は産業構造の最適化と高価値化を達成すべく、製造業のサービス化・サービス業のIT化と国際化・従来型産業の特色化という「三業四化」政策を打ち出した。その目標は、2020年までに製造業の付加価値率を、現在の23%から25%まで引き上げ、業界全体の無形固定資産比率を8%から15%までに上昇させることである。プラスチック・ゴム機械業界自身に関わってくるのは製造業のサービス化である。このうち、アフターサービス、技術サービス、スマートソフトウェアという三つのサービスモデルに関しては、産業にとっての必要度に応じた投資を行うほか、法人研究機関の支援を求めるのも良い。

 ここからは、2012年台湾プラスチック・ゴム機械業界の販売について分析を行う。業界関係者の話によると、主な発注者は、中国でスマートフォン、タブレットコンピュータ、通信、電子機器製造に従事する台湾人、及び中国本土の家電、携帯電話、建材、自動車製造業である。その他の海外受注はインド、日本、タイ、インドネシア、ベトナムや東南アジア諸国を中心に注文が来ている。プラスチック・ゴム機械は汎用性が高く、用途は様々な製品及び、原料を提供する石油化学産業、金型業界、精密機械加工・自動制御等とも密接な関わりがある。近年では環境保護を考慮したハロゲンフリーのプラスチックが広く使用されるようになったが、その材料には腐食性があり、スクリューとチューブには特別な設計と熱処理を必要とする。その他、エコ、省エネ、低騒音などのメリットを持つサーボ電源にも応用されている。サーボ電源は、従来の電気モーターと油圧駆動の代わりに、歯車ポンプとサーボモータを使用する装置であり、主要メーカーは日本のダイキン、東芝、トキメックである。コスト削減のため、台湾や中国メーカーのサーボ電源製品を採用するサプライヤーもいる。また、多関節ロボットを導入し、日に日に高まる人件費を抑えながら、品質の向上と効率アップを同時に成し遂げる業者も出てきている。6軸ロボットの製造と使用における代表的メーカーは、鴻海グループのフォックスコンとなっている。

 プラスチック・ゴム機械業界の主な顧客は、労働集約型産業のプラスチック・ゴム製品・加工業界である。中国本土や東南アジアに移転した企業が多いが、人件費の上昇から生産自動化への着手や、高付加価値製品の生産という構造転換の必要に迫られている。プラスチック・ゴム機械業界も顧客の需要に対応するため、付加価値の高い機械設備提供とサービスを開始した。長年の努力で、台湾のプラスチック・ゴム機械は海外市場では既に一定の成果を挙げている。以下では、今まで築いた産業の基盤を軸に、プラスチック・ゴム機械業界は今後どのように構造転換を行っていくべきかについて技術面から論じたい。

一.射出成形機
 省エネ・環境保護の流れを受けて、エネルギー節約ができ、かつ位置制御の精度も向上できるサーボモータへの需要が高まっている。サーボモータは顧客のニーズを満たし、利益をも創出する。

サーボ電源の応用
 電動モータの代わりにサーボモータを機械の動力源とすれば、省エネ効果が期待できる。また、油圧駆動からサーボ駆動に変えた場合、位置制御も高速かつ高精度で行える。
 全電動射出成形機の開発日本の生産形態は多くが全電動式を採用している。サーボモータを用いて順序制御を同時動作に切り替えれば、リアルタイムでフィードバックが可能となり、高い再現性も実現する。この機械のキーコンポーネントは海外から購入する必要があり、台湾での発展は容易でないが、台中精機和全立発機械などのメーカーはすでにこの市場に参入している。

自動化と無人化
 多機能マニピュレータ、6軸マニピュレータ、CCDビデオ監視システムなどを搬送システムと統合し、インターネットでクラウドサービスに接続すれば、自動化と無人化が実現できる。高騰する人件費を抑制できるほか、製品の品質向上と量産も期待できる。

カスタマイズサービスの提供
 一般機械や汎用機械はすでに台湾での競争力を失っている。よって、顧客に合わせたカスタマイズサービスの提供や専用機械の生産が、業界が台湾で安定した事業運営をしていくためには欠かせない。自身の能力を高めるほか、政府や学界と手を結び、デザイン要素も積極的に取り込んでいけば、製品の付加価値も向上も可能である。

 ターンテーブルのサーボ化モジュールを載せるターンテーブルの制御を、従来の油圧モータの代わりにサーボモータを使用し、二色二重の横式の射出成形機や立式の射出成形機に使用すれば、正確な位置制御ができる。

二.押出機及び中空成形機
 技術面での努力が報われ、台湾メーカーの製品はすでにイタリア製品を凌ぐようになってきた。しかし、高速・高精度、かつ特殊な専用機械において世界をリードしているのは、ドイツの技術であり、台湾とは明らかな差が出ている。

多層押出機

 業者はドイツのハイエンド制御装置を導入し、最先端のキーコンポーネントと組み合わせ、精度に対する要求の高い医療や、化粧品の包装に使用する五層押出機の製造ができるようになっている。

多層中空成形機
 中空成形機は主に潤滑油、パーム油や化粧品の包装に使用されており、業者はすでに三層ブロー成形機を作れるようになっている。シャンプーボトルを例としてあげれば、なめらかな表面にするため、内層と外層に新種のプラスチックを採用する一方、材料のコスト削減のため、中間層にはリサイクル再生材料を用いている。

ガソリンと電気の複合ハイブリッド機
 中空成形機メーカーは電源スイッチの切り替え動作にサーボモータを使用し始めている。

デュアルクランプ装置
 中空成形機はすでに デュアルクランプ装置の製造が出来るようになっている。一つのモジュールで5個の穴を開ける従来の方法から、二つのモジュールで10個の穴を開ける方法へという具合に生産量が大幅に上昇、省スペース化も進んだ。

薄膜成形機
 石紙装置は、薄膜成形で加工する装置であり、ブロー成形より技術力が高く、良品率も高い。その技術の鍵を握るのは、T型薄膜ヘッドである。石紙は紙の代わりになる新しい環境配慮製品である。70%の炭酸カルシウムに25〜30%の可塑剤を加え、押出機の薄膜を通過させることで出来上がる製品である。

三.ブロー成形機
 製瓶機は様々な飲料、化粧品、医薬品の包装に広く用いられており、人々の生活と密接な関係にある。

装置の統合
 例えば、製瓶機と充填機を統合し、同時進行で生産が行えるようになれば、空き瓶ストックと手作業によるパッケージングが不要になり、途中の運搬時間や人的コストが削減できる。

全電動製瓶機の開発
 従来の空気圧モータと油圧モータをサーボモータに代えた場合、より高精度、低騒音、省エネ、そして清潔さのある製造が実現する。またブロー、充填、スピンなどの機能を統合すれば、従来の回転式ブロー成形機より、切り替え時間を50%も節約できる。

先端製瓶機の開発
 ヨーロッパの先端製瓶機は主に飲料市場に採用されており、ドイツとフランスの先端製瓶機は、高速、高精度、高性能などのメリットを持つ。一方、日本の先端製瓶機は主にコスメ市場に活用され、成形前の瓶材を射出し、製瓶機と同じ装置に統合されている油圧式製瓶機で製瓶する「一歩法(ワンステップ法)」を採用している。

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