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【ワイズリサーチ】台湾直動機器事業の発展戦略


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2013年8月1日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】台湾直動機器事業の発展戦略

記事番号:T00062457

 直動機器事業は資本集約・技術集約・管理集約の事業であり、規模の経済が存在しているため、資本を先行投入した企業と資金の多い企業に独占される傾向がある。日本のTHKとNSK・ヨーロッパのBosch(ボッシュ)・台湾の上銀など大手メーカーの長期的研究開発・投資・運営戦略より、直動機器の競争的市場はすでに多くのメーカーが争う状況だ。しかし新興市場と直動機器の関連活用は長期的に良い見通しを示しているため、参入希望企業は続出しており、台湾企業も例外ではない。 新しく国内へ参入するメーカーおよびすでに参入したメーカーへの参考のため、本文は世界規模の発展動向を分析し、今後の直動機器事業のバリューチェーンの変動を述べ、国内事業の発展戦略を提案する。

 

一、動向と影響

 専門研究機関・国内外の模範となる企業の先見と発展策によって、世界課題を社会・技術・経済・環境・政策(STEEP)など5つの点から考えると、産業発展はいくつかの重大な動向の影響を大きく受けているのがわかる。社会面では、世界人口は依然と成長しているが、少子化が急速に進むため、人力が短縮し、人力コストが上昇しているため、自動化機械の需要はこれから増えていく。また、平均寿命と生活水準は上がり、消費パターンは多様化し、市場の構造が明らかに変化した。工作機械・電子機器など過去に直動機器がよく使われていた分野の割合が落ちた。各メーカーは医療・バイオテック・食品・省エネ設備などの分野に焦点を当てており、製品において重要視される点が高負荷・高精度から、清潔度と自己潤滑性に変わった。

 科学技術面では、斬新な技術を主導する政府と民間団体が新たな需要のため、大量の資金使い、研究開発を進めた。直動機器製品は中間処理設備から、ロボットと最終消費者向け製品まで手を伸ばした。大型企業は内部チームを頼る以外、新たな外部資源の確保や市場需要に合わせるため、R&Dセンターを設立するか、グローバル化の戦略的パートナーと協力するかになる。

 経済面では、巨大な新興市場の需要と過去の長期的円高に対応するため、THKとNSKなどの大手会社は、同時に中国での生産と購買の割合を増やし、中南米まで生産ラインを展開している。特にアメリカに近く、特恵関税もあるメキシコは注目されている。また、中国でのローカルメーカーの技術格差が縮小したため、今は激しい価格競争になっており、中小企業は隙間市場に頼らなければ存続できない。政策面では、経済と失業問題を解決するために、欧米、日本などの先進諸国は再工業化を強く主張し、製造業から投資を誘致する一連の政策を出した。アメリカの製造業の景気回復および最近の急速な円安により、多量の海外資金が米国と日本に戻し続いているが、長期的には世界のバリューチェーンの垂直的分業が変わる可能性がある。その上、先進国の海外生産の割合が落ちることは、新興国の工業に衝撃を与える。

 環境面では、持続的なエコなどの概念が社会に広がっており、使用者も生産者も積極的に資源分別、再活用を考えているため、直動機器のデザインは基本機能以外にも、省エネの経済的価値を重視するようになった。近頃、各メーカーは省エネとエコ製品に力を注いで、従来の部品の軽量化から、ローラータイプ・自己潤滑型・ボールリテーナチェーン・ナット回転・エキソサイクルなどの多様かつ複合型の新製品を出し続けており、最終目標として長期的に利用可能・低公害・低エネルギー消費・低騒音などの機能を目指している。

 

二、台湾国内の対策

 全体的に見れば、多元的活用・エコ・スマート化などの消費側の需要と価格破壊、過剰生産など供給側の原因によって、元々、川上・川中・川下の構造を成す世界バリューチェーンの付加価値は、図一が示すように、中央に押し出される。世界バリューチェーンにおいて、台湾は生産基地のポジションにあり、部品と構成要素の大量生産を担う役割である。アジア(特に中国)は台湾メーカーの最大の輸出市場である。台湾メーカーの生産ラインは完備しているが、システム化のレベルで言えば、まだ欧米、日本などには及ばない。また以前は、競争相手が少ないことと工作機械への需要が増えたことで、中国市場は利潤が大幅に上回ったが、現在ではライバルが増えており、需要と供給が逆転した。その上、元々の円高状況が安倍総理の就任から変わり、日本円対台湾ドルの為替レートは20%ほど下がった。世界中にバランスのとれた経営戦略を打っている大手日本企業が円安に恵まれており、また日本国内では高価格・低価格の市場が強化されており、海外ではマーケットシェアの向上も早く、海外生産力でローカルに低価格の製品を提供できる。この状況は台湾メーカー(特にカスタマイズ度の高いねじ製品)にとってはかなり不利である。

 このような動向が与えた衝撃を低減するには、メーカーはプロセスの改善と海外投資を加速させる以外に、川上と川下のメーカーの力を借りることで、外部力で台湾メーカーの実力を蓄積できると考えられる。世界の3大大手会社はすでに方向を、工作機械・光半導体から新エネルギー・他の産業機器・自動車・消費者向け電子製品などに転向している。長期的には、直動機器の応用分野は多元化し、台湾の国内中小メーカーの開発と存続に有利なはずである。新興応用分野の拡大により、高速・高精度・低騒音の需要があれば、さらに長期的利用の可能・高負荷・優れた耐久性の需要もあり、製品の仕様が大型化と小型化に分けられた。メーカーは自身の資源と条件を検討し、直動機器を工作機械の主要構成部品だけを扱うやり方から離脱して、川下メーカーと可能性がある産業を特定して隙間市場への製品を開発し、世界的な大手メーカーのパートナーになった方が良いと考える。


 台湾国内の直動機器の発展は日本の流れをたどってきており、ボールねじとベルトドライブの量産製品の発展も完成に近づき、日本メーカーに負けない結果を出しているが、軽量化・低騒音・エコなどの付加価値と安定性はまだ改善する余地がある。そしてリニアモータードライブや高精度のロケートリングなどの製品はまだ始まったばかりであり、製品デザインは比較的に完成度が低く、主要構成部品とドライブ制御の構成要素は輸入に依存しているため、全体的には海外メーカーとの差が著しい。また、これらの隙間市場への製品は高価・少量のカスタマイズ製品であるため、台湾メーカーは主要構成部品とドライブ制御の構成要素の開発への関心が少なく、中小製造業者にとっての最善の戦略でもない。もし製品の競争力を強化するならば、周辺感知・ドライブ制御・プログラムなどのメーカーと連携し、国内設備のメンテナンスを初期目標にし、業界アライアンスで、イメージング・電子制御・ハイエンドのシステム統合技術を導入・開発し、高精度の組立て・加工・印刷・ラミネートタッチ・LED・半導体など付加価値の高い装置の市場に注目した方が良いと考える。

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