【ワイズリサーチ】台湾手動工具産業:高付加価値化の方向性



リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年7月16日

機械業界 手動工具

【ワイズリサーチ】台湾手動工具産業:高付加価値化の方向性


記事番号:T00062876

台湾の手動工具産業は30年以上の発展を経て、既に誇るべき国際的地位を築いているが、驚異的な成長を見せる中国メーカーが2003年以降、 台湾に取って代わり世界最大の輸出国の座に就いている。その後も台湾メーカーはこれまでに蓄積した技術と工業インフラを頼りに生産額および輸出額で好業績を維持しているとは言え、速やかに高付加価値化を進めなければ、巨大な経済規模を有する中国メーカーの脅威がますます強まると考えられる。

台湾における手動工具の輸出入状況



 表1を見ると、台湾における2014年の手動工具輸入額は49億9,000万台湾元で過去最高を記録。10年の1キログラム(kg)当たり176.6台湾元から13年の同169.3元までは大幅な変動はなかった輸入単価も、14年は同200元と前年比18.1%の急激な上昇を見せた。このことから14年の国内市場では高単価製品の需要が高まったことがうかがえる。同様の状況が今後も持続するかは15年の動向を見守る必要があるものの、台湾における付加価値の高い手動工具製品市場が無視できない規模となっており、従来輸出を主としてきた台湾手動工具メーカーが国内市場を見直す機運が高まる可能性が出ている。なお台湾における手動工具の輸入依存度は2010年が41.6%、14年が41.1%と、大幅な変動は見られず、おおよそ40%前後で推移している。このため、国内市場規模は大きいとは言えないものの、台湾の手動工具メーカーが国内需要を見直す価値はあると言えよう。

 また輸出額は、2010年の539億6,000万台湾元から14年には過去最高の630億5,000万台湾元まで大幅に増加。世界金融危機による影響や年々競争力を高める中国メーカーの脅威にさらされながら、台湾メーカーは驚異的な潜在能力を発揮していると言える。なお、輸出単価も10年の1kg当たり225.8台湾元から14年には同253.5台湾元まで上昇。台湾手動工具による製品の高付加価値化が一定の成果を挙げていることがうかがえる。ただ、中国メーカーの低価格製品と日独メーカーの高品質製品の中間に生き残りの道を見出すには、高付加価値化のペースをさらに速める必要がある。

台湾手動工具産業の高付加価値化

 台湾手動工具産業は将来的に、政府が育成に注力する「6大新興産業(バイオテクノロジー、医療・介護、精緻農業、観光旅行、文化・クリエイティブ、グリーンエネルギー)」や「新興スマート型産業(クラウド・コンピューティング、スマート型電気自動車、スマート型グリーンビルディング、発明・特許)」といった新興産業と結合した産業構造の転換が期待される。なお近年、政府が推進する「特色ある高付加価値製品の開発指導」計画において、手動工具分野については業務用製品、電動工具、航空・宇宙分野向けセット、スマート型動力工具などの開発が盛り込まれている。

 先進国における労働力コストが日増しに高まる中、欧米、日本製の手動工具は対外的な競争力が弱まっている。また近年、原材、特に金属類(鉄鋼など)の価格が上昇し、製品にコストを反映させることが難しくなっており、メーカーは消費者の購買意欲を新製品に引きつける、または製品ラインナップの拡大により売上成長を確保している状況だ。こういった中、多くのメーカーが多機能、または革新的な高付加価値製品を新たに開発することで市場における競争力維持を目指している。以下に台湾の手動工具メーカーが目指す、新製品開発の要点についてまとめた。

(1)人間工学:作業中に負傷する危険性を抑えられるよう、設計に人間工学の概念を取り入れる

(2)使用の利便性:特殊な環境下での作業に応じ、コンパクトかつ片手で取り扱える手動工具が今後のトレンドとなる

(3)新素材の活用:エンジニアリング・プラスチック、アルミ超合金、マグネシウム合金の応用が浸透しつつある

(4)軽量化:強度が高く、軽い材料が「軽、薄、短、小」製品の開発を後押ししている

(5)デジタル化技術:今後は手動工具もデジタル化が進む見通しで、マイクロ加工や電子技術との融合や関連IC技術の開発が求められる

 台湾手動工具メーカーはこれまで、度重なる世界的な経済危機に際し、これを好機として企業構造や体質の調整を実現し、不景気においても好業績を維持してきたが、同産業の高付加価値化および構造転換は、さらに新たな道を切り開くことを可能にすると考えられる。

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