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【ワイズリサーチ】金属手工具製造業の現状および未来展望


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2016年1月21日

機械業界 手動工具

【ワイズリサーチ】金属手工具製造業の現状および未来展望

記事番号:T00063618

ㄧ、運営現状
 台湾金属手工具の2015年における生産額、販売額は、15年第3四半期まで主要輸出先である米国の経済が安定的な回復の恩恵を受け、当産業メーカーのOEM(相手先ブランド名製造)受注は増加、世界の自動車アフターマーケットおよびDIY需要が安定、加えて台湾スマート工具および統合型工具の出荷量が成長したことにより、当産業輸出額の成長に繋がった。しかし、中国製のミドル〜ローエンド製品による価格競争が激しくなり、当産業一部製品の見積りはその影響を受けて下落し、台湾経済の低迷により、レンチ、ツールマガジンなどの産業用手工具需要および販売額は減少した。そのため、15年第3四半期までの当産業の生産額、販売額はそれぞれ497億8,000万台湾元(前年同期比3.81%減)および521億2,900万台湾元(同4.17%減)と小幅減少にとどまった(表1参照)。

 2015年第4四半期は輸出先である米国の経済が安定的な回復の恩恵を受け、当産業製品の輸出は増加したものの、中国製品との競合および台湾経済の低迷など不安定要素の影響を受け、15年第4四半期当産業の生産額、販売額は共に減少を見せ、減少幅も拡大する見通しだ。
 2015年通年において、当産業主要輸出先である米国経済の安定回復、自動車およびDIYの世界市場の需要が安定したことにより、当産業のOEM受注および輸出量は増加したものの、中国製ミドル〜ローエンド製品との競争が激しくなり、当産業輸出額は小幅減少した。加えて、台湾経済の低迷の影響を受け、需要が縮減したため、15年通年当産業生産額、販売額は前年同期比小幅減少する傾向を見せるだろう。
 当産業のジャッキおよび金属製錠の平均見積り(四半期単位)の推移によると、中国製手工具の製造技術は成熟期に入り、生産能力の拡大および製品品質の向上により、中国製手工具の輸出量は明らかに成長した。これにより、ジャッキ類製品の販売における競争が激しくなり、台湾当産業の見積りも緩やかな減少傾向を見せた。
 2015年第3四半期まで、ジャッキ類製品の見積りは依然中国製品の価格競争の影響を受けているものの、米国経済の安定回復、欧州経済の回復により、ジャッキ類製品への需要は成長した。加えて台湾製の統合型・リッチ製品の出荷割合が増加したことにより、15年第3四半期までジャッキ類製品の平均見積り(四半期単位)は1,256.67台湾元で、前年同期比10.56%増となり、製品全体の見積りは成長の傾向を見せた。当産業金属製錠はスマート電子錠および多機能錠などのリッチ製品の輸出割合が増加し、台湾当産業の主要メーカー(東隆五金など)は国際的な大手メーカーであるため、OEM需要が拡大し、当産業金属製錠の品質向上にもなり、平均輸価格をけん引したため、近年において、台湾金属製錠の平均見積りは相対的に高い価格を維持することができている。
 2015年第3四半期まで、台湾金属製錠のOEM商機は引き続き熱気を帯び、北米不動産市場の景気回復により、米国市場のハイエンドの家庭用スマート電子錠に対する需要が成長し、当産業輸出製品の価格を支えた。しかし、中国製金属製錠による価格競争が激しくなった上、比較対象となる数値が高いため、15年第3四半期までの当産業金属錠の平均見積り(四半期単位)は92.72台湾元となり、前年同期比4.24%減の小幅減少となった。
 2015年通年において、欧米地区などの主要輸出先の経済回復により、当産業輸出受注も成長した。また、スマート手工具の輸出およびOEM受注の増加は、当産業の製品価格をけん引した。しかし、台湾の経済状況は予想より下回っており、産業用手工具の内需減少、中国製ミドル〜ローエンド手工具の輸出拡大により、輸出製品の激しい価格競争の影響を受け、15年当産業製品の見積りも両極化の傾向を見せた。

二、主要メーカーの運営状況および産業動向
 当産業は輸出産業に該当し、輸出割合は全体販売額の65%以上を占めており、台湾金属製手工具の輸出は国際大手メーカーによるOEM受注および欧米市場を中心としている。当産業主要メーカーの運営状況について、2015年第3四半期まで、欧米経済の安定回復により、当地製造業およびDIY市場の需要は回復した。加えて世界自動車製造業の好調により、自動車アフターマーケットの需要をけん引し、当産業メーカーの欧米手工具大手メーカーに対する引渡し数(OEM受注)も成長した。しかし、一部メーカーの主要出荷先および製品ラインは中国製品による価格競争の激化などの影響を受け、15年第3四半期まで当産業主要メーカーの連結売上高も両極化となっている。
 各メーカーの2015年第3四半期までの連結粗利益および純利益について、15年第3四半期までの鋼材見積りが見直されたため、生産コストによる圧力緩和に繋がった。また、メーカーは高価格の統合型製品の出荷割合を引上げること、OEM商機が増加したことおよび台湾元安・ドル高から生じた為替差益により、多くのメーカーの15年第3四半期までの連結粗利益および純利益は前年同期比成長を見せた。このうち、鑽全(BASSO)および力肯(DE POAN)はネイルガンのOEM受注出荷が増加し、台湾元安による為替差益が生じたため、15年第3四半期までの連結粗利益および純利益はそろって前年同期比成長を見せ、その他メーカーより優れた業績を残した。
 2015年第4四半期は欧米経済が安定回復し、欧米大手販売業者による手工具OEM発注をけん引した。しかし、台湾内需の不振および中国製手工具による価格競争がもたらした影響を受け、15年第4四半期当産業主要メーカーの連結売上高は両極化となった。連結粗利益および当期純利益について、川上の鋼材見積りが見直されたことにより、メーカーのコストダウンに繋がり、台湾元安による為替差益が生じたものの、当産業ミドル〜ローエンド製品は尚も中国製品による価格競争の影響を受けているため、15年第4四半期当産業主要メーカーの連結粗利益および当期純利益はばらつきがでる見通しだ(表2参照)。

三、未来展望
 2016年の景気について、16年の景気は15年より小幅回復し、欧米地区および新興国手工具からの需要増加が、当産業の輸出額をけん引すると予測されている。加えて、世界市場におけるDIY需要の増加、自動車点検市場の需要増加は、国際大手からのOEM発注に繋がる。
 また、ハイエンドの統合型・リッチ製品の輸出割合が引き続き成長することにより、台湾金属手工具販売額は回復する見通しだ。しかし、一部の輸出製品は尚も中国製品による価格競争の影響を受けているため、16年当産業の販売額は前年同期比1〜3%増の小幅成長に止まり、16年の台灣手工具製造業景気は前年同期比横ばい傾向を示すと予測されている(図1参照)。

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