ニュース 法律 作成日:2023年5月15日_記事番号:T00108926
知っておこう台湾法2023年1月、新北市内において、警察の制服を着た男Aが大学の門の前で交通整理を行っていたところ、当該エリアを管轄する派出所の本物の警察官に逮捕されるという事件がありました。
台湾刑法第158条第1項では、公務員になりすまし、その職権を行使した者は、3年以下の有期懲役、拘留または1万5000台湾元(約6万6000円)以下の罰金に処す旨が規定されており、本件のAは同罪で送検されました。
その後、23年4月14日、Aがまた偽物の警察の制服を着て新北市内を歩いていたところ、市民から警察に、警察の制服を着た男が道を歩いているが、少し怪しく本物の警察らしくない旨の通報がありました。
本物の警察が現場に駆け付けたところ、Aは驚き、急いで「私は歩き回っているだけで、何をするわけでもない。何も遮っておらず、また、話しているわけでもない」と述べました。
コスプレだけでも違法
しかし、台湾刑法第159条では、公然と公務員の服飾、記章または官職名を冒用した者は、1万5000元以下の罰金に処す旨が規定されており、仮にAの供述通り、Aがただ警察の制服を着ていただけだったとしても、Aには同罪が成立するため、Aは同罪で送検されました。
なお、Aは、警察から、警察になりたいのであれば、正当なルートで試験に参加するよう戒められたようです。
日本より高額罰金
日本においては、「官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作つた物を用いた者」は、拘留または科料に処されます(軽犯罪法第1条第15号)。
そして、法律上、拘留は、1日以上30日未満で(日本刑法第16条)、科料は、1000円以上1万円未満です(同法第17条)。
台湾では、偽物の警察の制服を着る行為について拘留という刑罰はないため、日本よりも罪が軽いとも思えますが、罰金の金額だけを比べると日本よりも高額とされています。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
福田優二弁護士
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