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第485回 廃棄物処理業者の不法投棄、依頼者の責任/台湾


ニュース 法律 作成日:2023年8月21日_記事番号:T00110650

知っておこう台湾法

第485回 廃棄物処理業者の不法投棄、依頼者の責任/台湾

 台湾に工場を持つ日系企業は少なく、多くの企業が廃棄物の処理を現地業者に依頼しているものと思われますが、その現地業者が不法投棄をした場合、依頼者に責任はあるのでしょうか。

 廃棄物清理法第30条第1項は、「事業者がその廃棄物の処理を委託する場合には、受託者と連帯して当該廃棄物に関する処理に責任を負わなければならないものとする。受託者が適正に処理せず、かつ委託者が相当の注意義務を果たしていない場合には、委託者は受託者と連帯して当該廃棄物に関する処理・環境の改善に責任を負わなければならないものとする」と規定しています。

 この中の「委託者が注意義務を果たしていない場合」が具体的にどのような状況を指すのかということについては、主務官庁である行政院環境保護署が作成した判断基準に示されています。

委託者の注意義務

 その概要は下記のとおりです。

 本署が指定・公表した廃棄物専門技術者を配置すべき廃棄物処理業者以外の者は、廃棄物の処理に際し、次の管理措置をすべて講じている場合には、相当の注意義務を果たしているものとみなされます。

1. 専ら廃棄物処理関連業務を処理する人員を配置した場合。

2. 廃棄物処理計画を提出し、廃棄物処理の流れをオンラインで申告し、実際の処理状況も申告している場合。

3. 処理を委託する前に、廃棄物を法令に従って分別保管していること。

4. 廃棄物の処理委託につき書面で契約を締結し、かつ受託者の資格や、法令による契約書項目の記載を事前に確認していること。

5. 受託者に契約違反や不法投棄または環境汚染のおそれがある場合、地方自治体の管轄当局に通知していること。

 なお、上記判断基準は一般論であり、企業の資本額、業種、廃棄物の種類によって異なる場合があります。依頼先である廃棄物処理業者に契約違反、不法投棄または環境汚染のおそれがある場合に連帯責任があるかどうかについては、弁護士に相談することをお勧めします。

 

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

鄭惟駿弁護士

鄭惟駿弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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