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《24年総統・立法委員選挙特集》第1回 リード続く与党・民進党、頼清徳氏・蕭美琴氏/台湾


ニュース 政治 作成日:2023年12月7日_記事番号:T00112624

選挙特集 24年総統・立法委員選挙

《24年総統・立法委員選挙特集》第1回 リード続く与党・民進党、頼清徳氏・蕭美琴氏/台湾

 2024年1月13日投開票の総統選挙まで残り1カ月余り。三つ巴(みつどもえ)の争いが確定した▽与党の民主進歩党(民進党)、▽最大野党の国民党、▽野党第2党の台湾民衆党──の候補者を順に紹介する。

/date/2023/12/07/co20lai_2.jpg頼氏(中)と蕭氏(左)。「チーム台湾、挺台湾(台湾をサポート)」をスローガンに掲げる。野球の世界一決定戦、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で台湾代表の応援に使用された掛け声だ(中央社)

 民進党の総統候補は、同党主席で現職の副総統の頼清徳氏(64歳)だ。

 頼氏は台北県万里郷(現在の新北市万里区)の貧しい炭鉱労働者の家庭出身。国立台湾大学医学部を卒業、米ハーバード大学の公衆衛生学修士号を取得し、内科医になった。

 1996年、当時の最高意思決定機関、国民大会の代表選挙に台南市から当選し、政界入りを果たした。その後、立法委員(99年~10年、4期)を経て、県市合併で直轄市となった台南市の初代市長(10~17年、2期)に当選した。蔡英文・政権の第1期(16~20年)では行政院長(17~19年)を務めた。

 20年の総統選挙で総統候補を狙っていたが、党内の予備選挙で蔡・総統に敗れ、副総統候補として出馬。蔡・頼ペアは過去最多の得票数817万231票(得票率57.13%)で再選した。

中国に対話呼び掛け

 頼氏は行政院長時代の17年、立法院の答弁で「わたしは実務的な台湾独立(台独)主義者」と発言したことがよく取り上げられるように、独立色が強いとみられており、中国当局から2度、「頑固な台独分子」と名指しされている。

 「台湾は既に主権が独立した国家で、改めて独立を宣言する必要はない」と繰り返すように、頼氏の両岸(対中)政策は、蔡総統が21年に掲げた▽中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しない、▽自由民主、▽主権、▽「中華民国台湾」の前途を台湾の人民の意思で決定する──「4つの堅持」、現状維持路線を踏襲する。

 さらなる公約として頼氏は8月の訪米前の7月に米紙への投書で、▽抑止力、▽経済の安全が国家の安全、▽世界の民主国家とのパートナー関係、▽安定かつ原則のある両岸(中台)関係──の「和平四大支柱」を掲げた。

 総統選挙に向けた支持率調査で頼氏の優勢が続く中、中国の国務院台湾事務弁公室(国台弁)は11月下旬、民進党の「台湾独立は戦争を意味する」などと強くけん制した。

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 これに対し頼氏は11月30日、自身が総統になれば、中国が対等で尊厳ある限り、対話のドアは常に開かれると表明した。蔡総統は、米紙のインタビューを通じ、中国は内部の課題に追われており、侵攻は差し迫っていないとの考えを示している。

2度目の「台湾経済の奇跡」を

 経済政策では、日本や米国、欧州連合(EU)など理念の近い国と、2国・地域間または複数国間の貿易協定を推進するほか、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)やインド太平洋経済枠組み(IPEF)への加盟を目指す。

 経済面で「太陽の沈まない国」にし、2度目の「台湾経済の奇跡」を起こしたいと語り、「経済のイノベーション、スマート国家」を公約に掲げた。蔡総統の6大核心産業に、「5大信頼産業」として▽半導体、▽人工知能(AI)、▽軍需、▽セキュリティー、▽通信──を加える。イノベーションや起業の環境を整え、5年で雇用機会2万件を創出する目標だ。

原発の可能性示唆

 民進党政権は16年に、25年の脱原発政策を決定したものの、電力不足を懸念する産業界の反対は根強い。

 頼氏は10月、既存の第1~3原発はグリーンエネルギーに含められないが、将来、安全かつ高レベル放射性廃棄物(核のごみ)問題がない新型原子炉ができれば、可能性を排除しないと語った。

 50年に電源構成(エネルギーミックス)を▽再生可能エネルギー、60~70%、▽水素エネルギー、9~12%、▽CCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)、20~27%──とし、温室効果ガス排出量実質ゼロ(ネットゼロ)実現を目指す。

外交の「戦う猫」

 副総統候補の蕭美琴・前駐米代表(52歳)は1971年、台湾人の父と米国人の母の間に兵庫県神戸市で生まれた。台南市、米国で学生時代を過ごし、コロンビア大学で政治学の修士号を取得した。

 95年に民進党駐米代表処の執行長、97年に党国際事務部主任に就任し、米国で人脈を築いた。02年に米国籍を放棄し、立法委員を4期(02~20年)を務めた後、20年7月に駐米代表に就任。11月下旬に立候補を届け出る直前まで、駐米代表として蔡・政権の外交政策の代弁者の役割を務めた。蕭氏を副総統候補に指名したのは、米国などに安心感を与える狙いとみられる。

 頼氏とは30年来の付き合いだ。頼氏は22年1月、中米ホンジュラス(23年3月に断交)外遊時に、蕭氏に副総統候補を打診した。蕭氏は、自分より野心があり、弁の立つ人はたくさんいると考え、「出馬すれば、胃潰瘍が悪化する」と断ろうとしたところ、頼氏に「わたしは医者だから、助けてあげる」と返されたという。

 蕭氏は、「戦猫(戦う猫)」を自称する。猫は人を引き付け、どんなに狭い場所でもバランスを取るためだ。愛猫家で、米国の自宅で飼う猫4匹を台湾に連れ帰り、選挙戦に挑む。蔡・総統の愛猫、蔡想想(英語名・クッキー)は、蕭氏が花蓮県で拾い、贈った猫だという。

ワイズメディア 谷口綾

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