ニュース 政治 作成日:2023年12月14日_記事番号:T00112751
選挙特集 24年総統・立法委員選挙4年に1度の総統選挙は、与党民進党が支持率30%台でリードを続けるものの、最大野党の国民党が追い上げ、8年ぶりの政権交代を狙っている。
侯氏(中)と趙氏(右)。国民党の集会は、中華民国の国旗(青天白日満地紅旗)を振るのが一般的だ(中央社)
従来、彰化県と雲林県の県境を流れる台湾最長の河川、濁水渓より南部は民進党の地盤といわれていた。国民党の公認候補、侯友宜・新北市長(66歳)は、濁水渓より南に位置する嘉義県朴子市出身で、台湾語を話せる。元警察官のため、タフなイメージがある人物だ。
侯氏は、中央警察学校(後の中央警察大学)刑事警察学科を卒業、後に中央警察大学の犯罪予防の博士号を取得した。1980年、台北市政府警察局刑事警察大隊から順調に昇進し、06年に陳水扁・政権(民進党)で警察事務の最高主管機関、内政部警政署の署長に就任した。08年には馬英九・政権(国民党)で中央警察大学の校長を務めた。
10~18年は、朱立倫・新北市長(現在の国民党主席)の下で副市長を務め、15年10月から朱氏が総統選挙に出馬した際には、新北市長を代行した。18年に新北市長に当選し、22年も45万票の大差を付け、再選を果たした。
朱・国民党主席は今年5月、市政満足度が高く、正義感があり、先見性があるとして、侯氏を公認候補に指名した。国民党の公認候補を目指していた鴻海精密工業創業者の郭台銘(テリー・ゴウ)氏は敗れた。侯氏は当初「最後まで市長をやり遂げる」と発言していたため、市民の間では、朱氏、韓国瑜・前高雄市長に続いて、市長から逃げ出し、市民を見捨てるのかなどの声が聞かれた。
「戦争か平和か」
蔡英文・政権(16~24年)で、中国からの経済的、政治的、軍事的圧力が高まり、台湾有事がささやかれる中、侯氏は「戦争か平和、どちらを選ぶのか」と有権者に何度も突き付けている。
侯氏は、民進党の公認候補、頼清徳・副総統が「わたしは実務的な台湾独立(台独)主義者」などと繰り返すことは、挑発的な発言で、台湾海峡を危険に陥れると批判した。
馬・前総統路線を踏襲
対中政策について侯氏は今年8月の日本メディアのインタビューで、馬英九・前総統(08~16年)が掲げた「不統、不独、不武(統一せず、独立せず、武力行使せず)」の「三不」を踏襲し、馬・政権時代の安定した両岸(中台)関係、交流を取り戻すと表明した。
馬・政権は、中台間の直航便を実現し、中国人観光客が次々と訪台し、内需を活性化させた。10年に海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)を締結し、アーリーハーベスト(早期関税引き下げ措置)を実現したものの、過度の中国依存を恐れた14年のヒマワリ学生運動をきっかけに、後続の海峡両岸サービス貿易協定の協議はストップしたままだ。
侯氏は、ECFAのサービス貿易などの協議を再開させると公約を掲げた。新型コロナウイルス流行で停止した中国人観光客についても、就任後すぐに受け入れを再開すると表明した。
若者向けの経済政策
外交面では、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)加盟を4年以内に実現するほか、中国などが参加している地域的な包括的経済連携協定(RCEP)加盟も申請すると述べた。
域内の経済政策は、最低賃金を月額3万3000台湾元(約15万2000円)まで徐々に引き上げると表明した。低賃金労働者の個人総合所得税を軽減する一方、富裕層は増税し、貧富の格差を縮める。
40歳以下で初めて住宅を購入する人を対象にした融資の優遇措置や、公立小学校の学童保育の無料化など、働き盛りを支援する公約も掲げた。国民党の支持率が低めの40代以下にアピールする。
原発稼働へ
蔡・政権は16年に、25年の脱原発政策を決定した。これに対し侯氏は、既に稼働を停止した台湾電力(台電、TPC)第1原発(新北市石門区)と第2原発(同市万里区)、25年に運転期限を迎える第3原発(屏東県恒春鎮)について、点検の上、安全に再稼働すると語った。15年7月に建設を中止した第4原発(新北市貢寮区)も、安全面で懸念がないという条件で、再開する考えだ。
侯氏は、50年の温室効果ガス実質排出ゼロ(ネットゼロ)達成に向け、原発の運転期間の延長や再稼働は国際的トレンドで、政治的な立場にこだわらず、理性的に検討しなければならないと語った。
「戦闘藍」の外省人
国民党の副総統候補は、基隆市生まれで外省人2世の趙少康・元立法委員(73歳)だ。台北市議会議員(2期、81~87年)や立法委員(2期、87~91年、93~94年)、行政院環境保護署(環保署、現・環境部)署長を歴任した。国民党所属だった92年の立法委員選挙で、党からの指名を得られず、無所属で台北県(現在の新北市)から出馬し、当選した。得票数は23万票余りで、最高得票記録だ。93年に新党を結成して離党した。
94年に台北市長選挙で敗れ、政界を離れ、メディアに活躍の場を移した。現在は中国広播(中広、BCC)の董事長(選挙活動期間は休職)。趙氏がパーソナリティーを務める政治番組、「少康戦情室」は、「深藍(藍は国民党のイメージカラー)」と呼ばれる国民党のコア支持者の間で人気が高い。
趙氏の指名は、「深藍」の票固めが目的とみられる。趙氏は、国民党内の「戦闘藍」というタカ派グループを率いており、論議に強く、口がうまくない本省人の侯氏とバランスも取った。一方、政界で活躍していたのは約30年前で、若者や女性の支持獲得は難易度が高いとみられている。
第1回 リード続く与党・民進党、頼清徳氏・蕭美琴氏
https://www.ys-consulting.com.tw/news/112624.html
ワイズメディア 林珮真
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