ニュース 法律 作成日:2025年4月14日_記事番号:T00121085
知っておこう台湾法科学技術による犯罪捜査に対する実務上のニーズに対応するため、長年にわたる討議を経て、2024年7月、台湾刑事訴訟法に第11章の1「特別強制処分」(以下「新法」といいます)が追加され,犯罪捜査と人権保障のバランスを図る、特定科学技術による犯罪捜査の手続が明確に規定されました。
■許可が必要
新法では次の三つの特別強制処分方式が明確に定められています。
一、犯罪者に対する科学技術による追跡・位置特定(第153-1条):検察官や警察が、GPSまたはその他個人の生体特徴を識別するものではない科学技術的方法により、犯罪被疑者の位置を追跡することが認められています。執行時間の長さに応じて、短期(24時間以内または累計2日間を超えない)の場合は、検察官の許可のみが必要とされ、長期の場合には裁判所から許可書の発給を受ける必要があります。
二、モバイル通信デバイスに対する科学技術的捜査(第153-2条):つまり、俗にいう「M化車」技術であり、仮想のモバイル基地局を通じて犯罪被疑者の携帯電話の位置とSIMカードの情報を検出します。高度なプライバシーの侵害に関わるため、一律に裁判所留保の原則が採用され、実施期間の長さに関係なく裁判所の許可を取得する必要があります。
三、プライベート空間に対する科学技術的調査(第153-3条):プライベートまたは秘密が合理的に期待される空間(例えば住居)につき、非物理的侵入的技術(例えば赤外線撮影)を使用して外部から内部に対して監視を行うことが認められています。この手段は主刑が最高で5年以上の有期懲役を科せられる重罪の調査においてのみ使用することができ、また、裁判所の事前の許可が必要です。
■科学技術的調査のルール
上記の三つの科学技術的調査手段について、新法では次のような関連メカニズムも新たに規定されています。
a.情報使用制限(第153-8条):取得した情報は本事案と関係があるものとないものの二種類に分け、本事案と関係があるものについては、当該事案の審理において使用することができ、他の手続において使用してはならず、本件と関係のないものについては、原則として、証拠とすることを禁止し、かつ廃棄しなければならない。
b.通知と救済(第153-7、153-10条):裁判所は調査終了後、調査対象者に救済ルートを通知するものとし、必要な場合、通知を延期することができる。調査対象者およびその弁護人は裁判所または検察官が行った決定に関して抗告の提起または取消、変更の申立てをすることができる。
新法の「特別強制処分」の章節は、台湾がはじめて新型科学技術的捜査手段を法律に組み込んだものであり、これにより、実務においてこれまで使用されてきた「GPS」や「M化車」に関する法的争いも解決されたことは、刑事法上の大きな進歩であると言えます。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
蘇逸修弁護士
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