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第568回 ワサビ1盛と消費者保護法


ニュース 法律 作成日:2025年5月5日_記事番号:T00121468

知っておこう台湾法

第568回 ワサビ1盛と消費者保護法

 嘉義にあるメニューの無い料理店(いわゆる、「無菜單餐廳」)で客がワサビを追加注文したところ、会計時になって初めて1盛につき150台湾元(約660円)かかることが判ったとの報道に接しました。客は渋々相当額を支払ったものの、その後Googleマップ上で当該店舗に一つ星評価をつけたところ、店側がこれに対抗し、同店のFacebookページに当該客の氏名及び顔が映し出された店内カメラの映像をモザイク無しに掲載する事態に発展しているようです。

 ミスコミュニケーションから始まった本件ですが、法的に見ると消費者保護法、個人情報保護法など様々な論点を含んでいる興味深い事件でもあります。

■商品の情報を伝える義務

 消費者保護法は、消費者権益の保護、国民の消費生活の安全促進と品質向上に寄与することを目的として制定されたものです。同法4条には以下のような規定があります。

 「企業経営者は、その提供する商品または役務につき、消費者の健康と安全を重視しなければならず、商品または役務の使用方法を消費者に説明し、取引の公正さを保ち、充分かつ正確な情報を消費者に提供し、及びその他必要な消費者保護措置を講じなければならない。」

 本件では、客がワサビの追加注文をした際に、「企業経営者」である店側が、商品の価格という「充分かつ正確な情報」を「消費者」である客に対し伝えていない、すなわち「提供」していなかったこととなるため、同条に違反するおそれが高いといえます。

■支払い拒否可能

 また、同法39条は県(市)政府等に消費者保護官の設置を義務付けているところ、同条に基づき設置されている嘉義市消費者保護官は本件について、「ワサビ提供前に価格を知らせず、事後的に追加料金の支払いを求めたのであれば、消費者は支払いを拒否することができる。」との見解を示しています。

 日常生活の中でトラブルは避けて通れないものですが、一時の感情に身を任せるのではなく、法的観点からの解決も視野にいれながら冷静に対処していきたいものです。

 嘉義にあるメニューの無い料理店(いわゆる、「無菜單餐廳」)で客がワサビを追加注文したところ、会計時になって初めて1盛につき150台湾元(約660円)かかることが判ったとの報道に接しました。客は渋々相当額を支払ったものの、その後Googleマップ上で当該店舗に一つ星評価をつけたところ、店側がこれに対抗し、同店のFacebookページに当該客の氏名及び顔が映し出された店内カメラの映像をモザイク無しに掲載する事態に発展しているようです。

 ミスコミュニケーションから始まった本件ですが、法的に見ると消費者保護法、個人情報保護法など様々な論点を含んでいる興味深い事件でもあります。

■商品の情報を伝える義務

 消費者保護法は、消費者権益の保護、国民の消費生活の安全促進と品質向上に寄与することを目的として制定されたものです。同法4条には以下のような規定があります。

 「企業経営者は、その提供する商品または役務につき、消費者の健康と安全を重視しなければならず、商品または役務の使用方法を消費者に説明し、取引の公正さを保ち、充分かつ正確な情報を消費者に提供し、及びその他必要な消費者保護措置を講じなければならない。」

 本件では、客がワサビの追加注文をした際に、「企業経営者」である店側が、商品の価格という「充分かつ正確な情報」を「消費者」である客に対し伝えていない、すなわち「提供」していなかったこととなるため、同条に違反するおそれが高いといえます。

■支払い拒否可能

 また、同法39条は県(市)政府等に消費者保護官の設置を義務付けているところ、同条に基づき設置されている嘉義市消費者保護官は本件について、「ワサビ提供前に価格を知らせず、事後的に追加料金の支払いを求めたのであれば、消費者は支払いを拒否することができる。」との見解を示しています。

 日常生活の中でトラブルは避けて通れないものですが、一時の感情に身を任せるのではなく、法的観点からの解決も視野にいれながら冷静に対処していきたいものです。

 

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

秋口麻貴弁護士

秋口麻貴弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

高校時代に参加した弁護士の講演がきっかけとなり、国際的に活躍できる法曹を志す。高校卒業後、台湾の大学に進学し中国語の習得並びに国際感覚の涵養に励む。在学中は積極的に日台比較法研究会への参加、現地の法律事務所でのインターン等を通して自身の法律知識を深めた。台湾法のみならず、様々な法分野においてクライアントに寄り沿うことができる弁護士を目指し、日々研鑽を積んでいる。

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