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第572回 もう手ぶらでホテルに宿泊できない?


ニュース 法律 作成日:2025年6月2日_記事番号:T00121999

知っておこう台湾法

第572回 もう手ぶらでホテルに宿泊できない?

 2025年1月1日をもって、宿泊施設におけるアメニティの無償提供が終了しました。

 ホテルによっては、フロント等でアメニティの販売をしているところもあるようですが、皆様の中には既に、ご友人が台湾に来た際に、コンビニエンスストアにトラベルセットを買い出しに行く羽目になった方もいるのではないでしょうか。

■アメニティバイキングも禁止

 今回の政策は、「使い捨て宿泊用品の使用制限対象及び実施方法(中国語:一次用旅宿用品限制使用對象及實施方式)」公告に基づくものです。同公告は、ホテル・民宿をはじめとする宿泊業を行う者を広くその適用対象としています(同公告2条)。

 同公告1条は「使い捨て宿泊用品」について、①消費者が一度だけ使用し、使用後に廃棄されることを目的として設計・加工された製品であって、②包装、容器、または製品本体がプラスチックまたはプラスチック成分を含む材料で作られており、③主に個人用アメニティ、ケア、衛生目的で使用され、④客観的に、洗浄又は回収後に繰り返し提供されることのない製品を指す──と定義しています。

 具体的には、シャンプー、リンス、ボディーソープ及び乳液、ヘアコーム、歯ブラシ、歯磨き粉、かみそり及びシャワーキャップが使用制限対象物品として列挙されています。

 また、同公告3条は、使い捨て宿泊用品の使用制限に関する実施方法を規定しているところ、同条1項は、「容量180ml未満の液体アメニティ及びケア製品を提供してはならない。」とし、同条2項では、営業敷地内においてアメニティバイキングのような形で使用制限対象物品を陳列することが禁止されています。これらの規定に違反した業者に対しては、1200台湾元(約5700円)から6000台湾元(約2万8600円)の罰金が科されます(同公告4条)。

 利用者側からすると、今まで当たり前に提供されていたものが無くなってしまうと、どうしても不便さを感じずにはいられませんが、これも地球環境保護のためにはやむを得ないのかもしれません。

 

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

秋口麻貴弁護士

秋口麻貴弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

高校時代に参加した弁護士の講演がきっかけとなり、国際的に活躍できる法曹を志す。高校卒業後、台湾の大学に進学し中国語の習得並びに国際感覚の涵養に励む。在学中は積極的に日台比較法研究会への参加、現地の法律事務所でのインターン等を通して自身の法律知識を深めた。台湾法のみならず、様々な法分野においてクライアントに寄り沿うことができる弁護士を目指し、日々研鑽を積んでいる。

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