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第575回 自転車の飲酒運転


ニュース 法律 作成日:2025年6月23日_記事番号:T00122412

知っておこう台湾法

第575回 自転車の飲酒運転

 日本では、道路交通法65条第1項により、自転車の運転に関するルールが厳しくなってきており、2024年11月1日以降、酒気帯び運転(血液1ミリリットル当たり0.3mg以上又は呼気1リットル当たり0.15mg以上のアルコール量を身体に保有する状態で運転する行為)も処罰の対象とされました。

 さらに、その罰則は道路交通法117条の2の2第1項第3号により、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金であり、決して軽くはありません。

 台湾では、刑法185条の3第1項柱書及び第1号により、呼気1リットル当たりのアルコール量が0.25mg以上又は血中アルコール濃度が0.05%以上の状態で「動力を使った乗り物」を運転する行為には、公共危険罪が成立し、3年以下の有期懲役に処せられ、また、30万台湾元(約150万円)以下の罰金が併科されることがあります。しかし、同条でいう「動力を使った乗り物」には、自転車は含まれないと解されており、自転車を飲酒運転したとしても同罪は成立しません。

 但し、道路交通安全規則第120条第1項柱書および第4号において、呼気1リットル当たりのアルコール量が0.15mg以上又は血中アルコール濃度が0.03%以上の状態で自転車等を運転してはならないとされています。そして、この基準値を超えて運転した場合、道路交通管理処罰条例第74条第2項により、1200元以上2400元以下の過料に処せられます。

■電動アシスト自転車は対象

 台湾では、YouBike(ユーバイク、微笑単車)というレンタサイクルサービスがあり、利用している方も多いと思われます。上記のとおり、台湾では自転車の飲酒運転は刑事罰(懲役や罰金等)の対象ではありませんが、過料が科される可能性はあるため注意が必要です。

 また、最近、電動アシストタイプのYouBikeが増えておりますが、これは「動力を使った乗り物」に該当し得るため、飲酒運転をすると、刑法185条の3に規定される公共危険罪が成立する可能性があります。通常のYouBikeと電動アシストタイプのYouBikeは見た目がほぼ同じなので、利用する際に両者の違いを意識することはあまりありませんが、法的取扱いは違うので、この点にも注意が必要です。

福田優二弁護士

福田優二弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

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