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第604回 利益が不利益以上?日系2社の企業結合禁止されず


ニュース 法律 作成日:2026年2月2日_記事番号:T00126716

知っておこう台湾法

第604回 利益が不利益以上?日系2社の企業結合禁止されず

 昨年6月に発表された、トヨタ自動車傘下の日野自動車および、ダイムラートラック傘下である三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)の企業結合(以下、「本件合併」といいます)に関し、公平交易委員会(日本語:公正取引委員会)は今月15日、本件合併を禁止しない旨を表明しました。

 台湾には、日本法上の「私的独占の禁止および公正取引の確保に関する法律」(いわゆる、独禁法)に相当する、公正取引法(中国語:公平交易法)があります。同法は、独禁法同様、企業結合による弊害をあらかじめ防止することを目的として、企業結合に関し一部規制を設けています。これまで本コラムでは、企業結合を行うにあたっては、原則的に事前の届出が必要であることおよび、例外的に届出が不要となる場合がある点についてご紹介いたしました(詳細については、下記コラムをご参照下さい)。

第323回 事業者結合申告を行わない場合の処罰

https://www.ys-consulting.com.tw/news/88706.html

第483回 企業結合の例外事由

https://www.ys-consulting.com.tw/news/110397.html

 今回取り上げる事案は、法に基づき必要な結合届出が行われ、かつ公正取引委員会が、本件合併を禁止しないと宣言したケースです。

■合併利益の大きさで許可

 公正取引法第13条第1項は、以下のとおり規定しています。

 「事業結合の届出について、当該結合による全体としての経済的利益が、競争制限による不利益を上回る場合には、主管機関はその結合を禁止してはならない。」

 公正取引委員会の発表によると、

(1)物流運送事業者や旅客運送・観光バス事業者等の商用車の購入者側にも一定の交渉力が存在することから、本件合併は台湾の市場構造および競争状況に重大な影響を及ぼすものではないこと。

(2)結合参加事業者が本合併を通じて日系自動車メーカー2社の資源を統合し、産業転換に必要な関連技術の開発を進めることは、研究開発およびイノベーションの加速に資するものと考えられること等、複数の要素を総合的に考慮した結果、「当該結合による全体としての経済的利益が、競争制限による不利益を上回る」との結論に至ったことから、本件合併を禁止しない旨の判断を下したとのことです。

 今後の日台を取り巻く自動車業界の動向が一段と注目されます。

 

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

秋口麻貴弁護士

秋口麻貴弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

高校時代に参加した弁護士の講演がきっかけとなり、国際的に活躍できる法曹を志す。高校卒業後、台湾の大学に進学し中国語の習得並びに国際感覚の涵養に励む。在学中は積極的に日台比較法研究会への参加、現地の法律事務所でのインターン等を通して自身の法律知識を深めた。台湾法のみならず、様々な法分野においてクライアントに寄り沿うことができる弁護士を目指し、日々研鑽を積んでいる。

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