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第97回 外勤業務の労働時間労働部が明確化


ニュース 法律 作成日:2015年5月25日_記事番号:T00057136

知っておこう台湾法

第97回 外勤業務の労働時間労働部が明確化

 労働部は、外勤者の労働時間計算の基準として、5月6日に「労働者の事業場外労働時間の指導原則」(以下『本原則』という)を公布した。

 外勤の営業員、報道機関勤務者などの日常的にオフィス外で業務を遂行する外勤者について、しばしば、時間外労働の時間が長過ぎる(例えば、保険外交員はいつも顧客の退勤後でなければ保険の商談ができない)、労働時間が認定されにくい(例えば、雇用主からの電話またはLINEでの命令を待つ待機時間は労働時間か否か)などの問題が生じているため、労働部は本原則を制定した。そのポイントは以下の通りである。

1.出退勤時間、休憩時間、時間外労働の認定基準などは、労働契約で約定しなければならない。本原則第二条(一)の規定によれば、通常の勤務開始および終了の時間、延長労働時間(時間外労働)の認定、休憩時間および交代勤務制における交代などについて、労使双方は、労働契約で約定しなければならない。

2.雇用主の命令を待つ待機時間も労働時間である。本原則第二条(二)の規定によれば、労働時間とは、労働者が雇用主の指揮監督の下、労務を提供しまたは指示を受けて労務提供のため待機する時間をいう。

3.雇用主の指揮、監督を受けない場合に限り休憩時間となる。本原則第二条(三)の規定によれば、休憩時間とは、労働者が雇用主の指揮、監督下から離れて自由に使うことができる時間をいう。

4.雇用主は外勤の労働者の労働時間を記録しなければならない。本原則第二条(四)の規定によれば、事業場外で業務に従事する労働者は、約定した通常の労働時間内に労務を遂行しなければならず、雇用主は、労働者の通常の労働時間をその日ごとに記録しなければならない。また、本原則第二条(七)の規定によれば、労働者の通常の労働時間の終了後、雇用主が通信ソフト、電話またはその他の方法により労働者を労働させる場合、労働者は、労働の開始時間・終了時間を自ら記録した上で、会話記録・通信記録などとともに雇用主へ報告することができ、雇用主は労働時間の記録に追加しなければならない。

5.外勤の労働者の労働時間の記録方法。本原則第二条(六)の規定によれば、外勤の労働者の労働時間の記録方法は、事業者の出勤簿またはタイムカードに限定されるのではなく、パソコンの情報または電子・通信機器を記録の補助とすることもできる(例えば、ドライブレコーダー、GPSデータロガー、電話、携帯電話によるタイムカード打刻、通信ソフトなど、出勤記録を確認することができるツール)。

 労働部は、雇用主が本原則の規定に違反した場合、労働者は各県・市の労働局などの主管機関に申し立てることができることを強調しているので、特にご注意いただきたい。 

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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