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第125回 取引相手(債務者)の財産状況を 調査する方法


ニュース 法律 作成日:2015年12月14日_記事番号:T00060926

知っておこう台湾法

第125回 取引相手(債務者)の財産状況を 調査する方法

 「どのように取引相手(または債務者)の財産状況を調査するか」については、弊職が非常によく聞かれる質問です。今回のコラムでは、弁護士などの専門家に依頼せずに、ご自身でも行える調査方法をご説明致します。

1.相手方の土地・建物謄本を取得する

 取引相手(債務者)の会社住所、または個人の住所が分かれば、台湾の各地政事務所において、当該住所の土地・建物謄本の閲覧申請ができますので、土地、建物の所有権者を確認することが可能です。当該謄本から、土地・建物を取得するに当たっての登記の経緯、例えば、売買また相続によって取得したかというような内容について確認ができます。なお、土地・建物の面積、持ち分、ならびに担保の設定状態、つまり、担保権者が誰であるか、担保金額がいくらかについても、登記資料から分かります。通常、担保金額は、債権金額の約7割、8割になりますので、担保の金額から、調査対象である取引相手(債務者)には、どのくらいの負債があるかを推測することが可能となります。

2.国税局より相手方の財産リストを取得する

 「執行名義」を取得すれば、当該名義をもって、台湾の税務機関に対して、取引相手(債務者)の所有する財産リストの申請、取得が可能となります。「執行名義」とは、強制執行の法的な根拠となる文書を指します。主な執行名義としては、「裁判所の確定判決」、「強制執行認諾約款が付いた公正証書」、「仲裁判断」、「確定済みの支払い督促」などがあります。また、財産リストには、以下の事項が記載されます。

1)土地を有する場合、土地所有権者の氏名、土地の所在地、面積、持ち分および価値

2)建物を有する場合、建物所有権者の氏名、建物の所在地、面積、持ち分および価値

3)車両を有する場合、車両所有権者の氏名、車両登録番号および車種

4)株式を有する場合、投資先の社名、株数および価値

5)給与を銀行振り込みで受領している場合、給与の金額と振込先の銀行名

 なぜこのような財産状況を知ることができるかというと、不動産、車両、株式、給与などは国税局の課税対象となりますので、税務機関は債務者が有するこれらの財務資料を保有しているためです。

 弊職も日常的に、クライアントの方からご依頼を受けて、取引相手(債務者)の信用状況、財産状況を調査し、クライアントに報告していますので、もし皆さまの会社においても、取引相手の信用状況、財産状況を確認されたいのであれば、お気軽にご連絡下さい。

黒田法律事務所・黒田特許事務所

1995年に設立、現在日本、台湾、中国の3カ所に拠点を持ち、中国法務に強い。 現在、13名の弁護士、6名の中国弁護士、2名の台湾弁護士、1名の米国弁護士及び代表弁護士を含む2名の弁理士が在籍しており、執務体制も厚い。
http://www.kuroda-law.gr.jp/ja/tw/

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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