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第198回 台湾法上の「事業譲渡」


ニュース 法律 作成日:2017年8月7日_記事番号:T00072123

知っておこう台湾法

第198回 台湾法上の「事業譲渡」

 「事業譲渡」とは一般的に、会社法第185条第1項第2号に規定される「会社の全てまたは主要な部分の営業または財産の譲渡」という行為を指す。また、経済部の2005年7月26日経商字第09402095620号書簡における見解によれば、例えば、A社が会社法第185条第1項第2号に基づき自己の営業または財産をB社に譲渡する場合、B社の受入行為は、企業M&A(合併・買収)法第27条の「買収」に該当するため、会社が「事業譲渡」を行う場合、会社法の手続きのほか、企業M&A法の規定を順守する必要がある。

 会社が事業譲渡を行うに当たっての主な関連手続きは以下の通りである。

株主総会の同意必要

1.会社法上の手続き:会社法第185条第1項第2号によれば、会社が会社の全てまたは主要な部分の営業または財産の譲渡を行う場合、発行済株式総数の3分の2以上を代表する株主が出席する株主総会において、出席株主の議決権の過半数の同意をもって行わなければならない。

2.企業M&A法上の手続き:企業M&A法の関連規定によれば、事業譲渡を行う場合に譲渡側および譲受側が行わなければならない関連手続きは以下のとおりである。

(1)事業譲渡により債権の譲渡が発生する場合、債権の譲渡側が、公告または通知の方法により、上記の債権譲渡について債務者に知らせなければならない(第27条第1項)

(2)事業譲渡により財産の譲受が発生する場合、移転および変更登記を行わなければならない(第27条第5項、第25条)

(3)会社は、会社法第185条第1項第2号に基づき、営業譲渡についての株主総会の特別決議を行った後、直ちに決議内容を各債権者にそれぞれ通知および公告し、かつ、30日以上の期限を指定して、債権者が期限内に異議を申し立てることができる旨を表明しなければならない(第27条第5項)

3.公正取引法上の手続き:事業譲渡を行う場合において、譲受側が他社の事業を受けることによって、公正取引法第11条に定められた「事業者の市場占有率が3分の1に達する」などの結合申告要件を満たすときは、主管機関である公正取引委員会に申告しなければならない。

 なお、事業譲渡を行う際は、従業員との雇用関係をどのように処理するかなどその他の法的な問題も生じるため、事前に法律専門家の意見を求め、最も適切な解決方法を採用すべきである。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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