ニュース 法律 作成日:2017年7月10日_記事番号:T00071590
知っておこう台湾法「台湾で訴訟を提起するにはいくらかかるか」というのは、弊職がしばしば尋ねられる問題である。この問題の解答については、二つの部分に分けることができる。
犯罪被害者として刑事告訴を提起する場合、台湾の政府または裁判所などに金銭を支払う必要はない(例えば、甲が道路で交通事故に遭い負傷し、そのため検察官に、加害者たる運転者乙に対する過失傷害罪の刑事告訴を提起する)。
一方、原告として民事訴訟を提起する場合、台湾の裁判所に訴訟費用を納付しなければならない(例えば、前例における甲が、負傷したことにより乙に対し別途、医療費・薬代、仕事ができなくなった分の損失など計100万台湾元の賠償請求の訴えを提起する)。
請求額に比例
民事訴訟を提起する場合の訴訟費用の計算方法については、民事訴訟法(以下「本法」という)第77条の13以下に規定されており、重要な規定は以下のとおりである。
本法第77条の13
「財産権により訴えを提起する場合、その訴訟物の金額または価額につき、10万元以下の部分については1,000元を徴収し、10万元を超える100万元までの部分については1万元当たり100元を徴収し、100万元を超える1,000万元までの部分については1万元当たり90元を徴収し、1,000万元を超える1億元までの部分については1万元当たり80元を徴収し、1億元を超える10億元までの部分については1万元当たり70元を徴収し、10億元を超える部分については1万元当たり60元を徴収する。その端数が1万元未満の場合は、1万元として計算する」
本法第77条の14第1項
「財産権によらずに訴えを提起する場合、3,000元の裁判費用を徴収する」
以上の規定から、請求する金額が高いほど訴訟費用も高額になることが分かる。具体的には、前記の甲から乙への100万元の賠償請求の例において、甲が地方裁判所に訴えを提起する場合、1万900元の訴訟費用を納付しなければならず、納付しない場合、裁判所は訴えを却下する。
一方、原告の請求が金銭でない場合には、訴えの提起に当たり3,000元の訴訟費用を納付しさえすればよい(例えば、夫から妻への同居義務の履行を請求する訴え)。
また、甲が日本で乙に対し同様の損害賠償訴訟を提起し、370万円(約100万元)を請求する場合、日本の裁判所の第一審の訴訟費用は2万4,000円(約6,500元)であり、台湾と比べて低額となっている。
弊職は業務で、請求金額が高く、そのため訴訟費用も高額となったケースを数多く処理してきた(例えば、サプライヤーが1億元の商品代金の返還を請求する訴えを提起した時、89万2,000元もの訴訟費用を預納しなければならなかった)。台湾法では、ほかの法律手段を活用して同一の目的を達成できる可能性があるので、訴訟のコストを節約するために、まずは経験を有する法律専門家に相談するのがよい。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
蘇逸修弁護士
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