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第292回 台湾法上の離婚


ニュース 法律 作成日:2019年7月22日_記事番号:T00084740

知っておこう台湾法

第292回 台湾法上の離婚

 台湾の著名なモデルで女優の林志玲(リン・チーリン)と日本のダンス&ボーカルグループ、EXILE(エグザイル)のメンバー、AKIRAの結婚が6月報じられ、日台双方がこの話題で沸き返りました。日台間では、関係が親密なことから、林志玲とAKIRAの他にも数多くの国際結婚の事例が存在します。

少なくない日台離婚

 しかしながら、弊所の経験によれば、日台間の国際結婚では価値観、家庭観、文化、言語などの違いから最終的に離婚する例が少なくありません。台湾で結婚した夫婦は、婚姻関係を解消するためには台湾法の規定にのっとることが必要です。以下が台湾法上の離婚に関する規定です。

1.協議離婚。民法第1050条では「協議離婚は、書面をもって行い、これには少なくとも2人の証人が署名し、かつ戸政機関に離婚の登記をしなければならない」と規定している。

2.裁判離婚。民法第1052条は以下の通り定めている。

第1項:「夫または妻が下記の事由のいずれかに該当する場合、他方は裁判所に対して離婚を請求することができる」

(一)重婚したとき(二)配偶者以外の者と和姦(わかん)したとき(三)夫または妻が同居に堪えないほどの虐待を他方に与えたとき(四)夫または妻が他方の直系親族を虐待した、あるいは夫または妻の直系親族が他方を虐待し、共同生活をするに堪えなくなったとき(五)夫または妻が悪意をもって他方を見捨て、その状態が継続しているとき(六)夫または妻が他方の殺害を企図したとき(七)治療不可能な悪疾があるとき(八)治療不可能な重大な精神病があるとき(九)3年以上にわたり生死が不明なとき(十)故意による犯罪により6月を超える懲役に処せられることが確定したとき

第2項:「前項以外の重大な事由があり、婚姻を維持し難い場合、夫または妻は離婚を請求できる。ただし、夫または妻が当該事由について責任を負うべき場合、他方のみが離婚を請求できる」

 また、夫婦の離婚後の子供の親権については、民法第1055条の規定により、離婚後の一方が親権者となることも、双方が共同で親権者となることもできるとされていて、実務上は後者の方が多いです。この点は日本の状況とかなり異なります。

 弊所では日台間の婚姻を巡る紛争事案を多数扱ったことがあります。こうした事案については、日台の法律および人々の考え方などを十分に理解した法律事務所が処理することによってこそ、当事者と子供にとって最善の利益がもたらされます。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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