リサーチ マーケティング 台湾事情 その他 作成日:2022年5月30日
Y'sの業界レポート記事番号:T00107972
近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉をよく耳にするが、それは進化したIT技術を浸透させることで、企業や組織をより良いものへと変革させるという概念のことだ。DXに取り組む企業は、ビジネスモデルや業務体系に応じて、ソフトウェアの設計や運用、または関連の情報システムのコンサルティングまでも必要となるため、システムインテグレーター(SI)の活用により新たなシステムやソリューションをつくり出すことができる。
今後も引き続き成長するSI企業
台湾コンピュータプログラミングコンサルティングおよび関連サービス業の市場規模は2020年に3,000億台湾元を突破した。その全体の6割程度を占めるシステムインテグレーション業の市場規模は1,832億台湾元であり、10年前より600億台湾元も成長した。
また、システムインテグレーションの企業数も2001年の3,624社から2021年の9,031社まで増加し、20年間で約2.5倍も成長した。いまも産業界においてDX、インダストリー4.0が促進され、Fintech(フィンテック)や情報セキュリティも企業に重要視され、今後さらなる市場の成長が期待できる。
顧客ニーズに応えるシステムインテグレーター
IT情報産業の川上産業は主に専門的な情報関連製品の研究開発と製造に重点を置いており、川中産業のディストリビューターは市場の促進とマーケティングチャネルの確立を主要なビジネス目標としている。なお、SI企業は川下産業に 位置づけ、エンドユーザーへサービスを提供して、メンテナンス、技術サポートおよびその他のサービスを行っている。台湾において代表的なSI企業に精誠(SYSTEX)、敦陽科(STARK TECHNOLOGY)、中菲(DIMERCO DATA SYSTEM)、凌群(SYSCOM COMPUTER)、国衆(LEO SYSTEMS)が挙げられる。
日本企業と協業し、東南アジアへの進出を目指す
台湾のSI産業は成長しつつあるが、新技術の導入やデジタルへの投資は主に大手企業が行い、大口受注も大手SI企業しか取得できないため、中小規模のSI企業は成長が停滞している。しかし、新型コロナウイルスの影響により、企業の規模に関係なく多くの企業は業務のデジタル化を加速させ、事業の「非接触」と「無人化」に関わる技術への投資が大幅に増加した。これを機に中小規模のSI企業も、より多くの案件が取得でき、顧客のニーズに合わせたソリューションを提供することができるようになった。
台湾のSI企業はこれまで国内市場向けにサービスを提供しているため、この先成長し続けられるかを懸念して海外市場の開拓を図っている。台湾政府は日本企業と協業し第三国(東南アジア)へ参入する政策を打ち出している。まだ発展途上国である東南アジア諸国はDXの発展性があり、現地の交通、建設、ITなどのインフラ、特に一般道路や高速道路は非常に混雑しているため、交通事故、渋滞などの問題が解決できる高度道路交通システム(ITS)の需要が高まっていると見込まれる。
台湾C-LINKと日本NSWの協業
台湾経済部工業局の情報システム統合推進計画室(SIPA)の推進計画により、2021年に台湾の訊力科技(C-LINK)は日本ITソリューションプロバイダの日本システムウエア株式会社(NSW)とAI画像処理技術分野における相互協力の覚書を締結した。両社とも、AI画像処理技術の強みを持つシステムインテグレーターとして電気通信、製造、流通など異なる産業で活躍している。
訊力科技(C-LINK)と日本システムウエア株式会社(NSW)はスマートシティソリューション提供を目的として、リアルタイム検知やAI画像処理技術を活用し、監視カメラやドローン(UAV)を通して、道路交通状況の分析をする。また、C-LINKとNSWは市場展開を図るとともに、日本国内での市場拡大を計画し、将来的には他のアジア市場への展開も検討する予定だ。
台湾のSI企業は政府の支援の下、日本企業と協業しながら第三国市場への展開などビジネス領域を拡大していき、さらなる成長を狙っている。今後、台湾SI企業の市場は国内市場だけではなくグローバルマーケットへの販路拡大が続くだろう。
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