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第551回 株式会社の株式は放棄できるのか/台湾


ニュース 法律 作成日:2024年12月23日_記事番号:T00119274

知っておこう台湾法

第551回 株式会社の株式は放棄できるのか/台湾

 主管機関が「株式会社の株主は株式を放棄することができ、株主がその保有する株式を放棄する場合は、会社に対し放棄の意思表示を行わなければならず、その意思表示の完了をもって、当該会社は当該株式の所有権を取得する」、「株式会社の株主によるその保有する株式の放棄は、私権に関する事項に該当し、主管機関に報告・登記をする必要はない」旨を認定した解釈を行っています。

■放棄は同意が不要

 以上によりますと、主管機関は、株主によるその保有する株式の放棄が単独行為に該当し、相手方の同意は不要であると認めています。また、会社法では株主による株式の放棄に関して記載していませんが、株主が株式を放棄した場合、会社は取得した株券上に株主が当該株券を放棄した旨を自ら直接注記して当該株券の所有権を取得することができると解されます。

 もっとも、株式の放棄は株主名簿の変更に関わるため、関連手続に協力する必要もあります。当該手続の概要は、その会社における株式事務サービスを提供する株式事務部門の有無や株式の発行方式などにより違いがあります。

 株式事務部門がある場合、株券が発行されている株式については、まず株券を取得し、それを会社の株式事務部門に提出して放棄手続を進めます。

 一方、株券が発行されていない場合は、証券通帳や届出印、株式放棄表明書などを用意し、取引証券会社で放棄手続を進めます。株式事務部門がない会社では、株券が発行されている株式の放棄において、株券をもって会社で返還手続きを行います。株券が発行されていない場合は、内容証明郵便で放棄の意思を会社に通知します。

 以上の手続の概要はあくまでご参考のためにのみ提供します。各会社における株式の発行状況は異なり、放棄しようとする場合、具体的な個別の事案について明確に説明のうえ、弁護士、会計士および証券会社などに相談し、専門的な意見を求めることをお勧めします。

 

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

鄭惟駿弁護士

鄭惟駿弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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