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第72回 アフリカ豚熱、食品残渣飼料の使用も議論


ニュース 社会 作成日:2025年10月27日_記事番号:T00124887

ワイズニュースこぼれ話

第72回 アフリカ豚熱、食品残渣飼料の使用も議論

 台中市の養豚場で家畜伝染病、アフリカ豚熱(ASF)の発生が台湾で初めて確認されました。国際獣疫事務局(WOAH)に通報し、輸出を一時停止しました。

/date/2025/10/27/00super_2.jpg豚肉は、鶏肉と並び、台湾でよく食べられています(中央社)

 台湾は今年5月までに、豚の三大感染症といわれる口蹄疫(こうていえき)、アフリカ豚熱、豚熱(CSF)の清浄地域に認定され、豚肉の輸出を強化していたところでした。ウイルスの潜伏期間は15日間。3カ月以内に新規確認がなければ、清浄地域の認定を再申請できます。

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■持ち込みは罰金20万元以上

 日本の農林水産省によると、アフリカ豚熱は、人に感染することはありませんが、感染した豚の致死率が高い伝染病です。ウイルスに汚染された豚肉や豚肉加工品を豚に給餌したり、豚同士の接触で感染が拡大します。

 アジアでは2018年、中国で初めてアフリカ豚熱が発生し、台湾と日本など一部以外に広がりました。日本は、海外で肉に付着したり、人に付着したアフリカ豚熱の侵入を防ぐため、肉類の入った食品を国内に持ち込まないなどと呼びかけています。

 台湾も同様です。空港で海外から入境する旅客の携帯品検査を強化しており、豚肉製品が見つかれば、初回でも罰金20万台湾元(約97万円)が科されます。

■ごみ分類の習慣

 どうして突然、アフリカ豚熱が発生したのでしょうか?国立台湾大学獣医専業学院の李淑慧・兼任助理教授は、海外の事例では、食品残渣(しょくひんざんさ、残飯、生ごみ、厨芥残渣)等利用飼料(エコフィード)から始まるケースが9割だと指摘しました。海外から持ち込まれた肉製品にアフリカ豚熱ウイルスが付着していて、食品残渣として回収された可能性です。

 昨年、台湾の税関で見つかった豚肉製品は1154件、1トンでした。環境部の統計によると、昨年の家庭から回収された食品残渣は50万トンで、42.8%が豚の飼料になりました。

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 飼育頭数がシェア3割で台湾最多の雲林県の張麗善・県長(国民党)は22日、18年当時から雲林県は食品残渣飼料を禁止しており、全県市で禁止すべきだったと訴えました。

 頼清徳・総統(民進党)は24日、行政院長だった18年当時、全22県市の大部分が食品残渣飼料の全面禁止に反対していたと説明しました。食品残渣は90度以上、1時間以上で加熱すれば、ウイルスは死滅すると強調。食品残渣を処理する方法が減れば、却ってウイルスが広がりやすいと指摘しました。

 環境部管理署の林左祥・副署長は25日、食品残渣の回収を継続すると表明。一度やめると、市民に分類を習慣付けるのは容易でないと説明しました。

/date/2025/10/27/20trash_2.jpg残飯の回収(中央社)

 食堂やごみ回収車をみても、確かに市民に食べ残しの分類が根付いています。

 食品残渣飼料を使用している養豚場は8%。養豚場の全面検査を進めると同時に、食品残渣飼料使用の是非も議題となっています。

アフリカ豚熱疑い例を初確認
https://www.ys-consulting.com.tw/news/124856.html

青木樹理

青木樹理

ワイズメディア

日本、台湾での金融機関勤務を経て、ワイズニュース創刊年の2007年に入社。副編集長を経て20年より編集長。台湾経済・産業の動向を分かりやすくお伝えするため、台湾社会をウオッチしながら生活しています。

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