ニュース 政治 作成日:2025年8月11日_記事番号:T00123398
ワイズニュースこぼれ話5月17日に国営電力会社、台湾電力(台電、TPC)の第3原子力発電所(屏東県恒春鎮)が運転を停止し、原発なしでの初めての暑い夏。8月23日、第3原発の再稼働の是非を問う住民投票が行われます。
■8月23日に住民投票
住民投票の設問は、「主管機関が安全に懸念がないことを確認した場合、第3原発の運転延長に同意するか」というもの。18歳以上の有権者が投票します。
住民投票の成立要件は、有効な同意票が有権者数の4分の1以上で、かつ同意票が不同意票を上回ること。成立すれば、総統または権限を有する機関が、政策を実現するために必要な措置を講じます。成立しなかった場合は、2年以内に同じ事項の住民投票を提起できません。
■コスト・有事・地震
住民投票に向け、中央選挙委員会(中選会)は8月7~15日に計5回、テレビ意見発表会を開催しています。
原発再開の賛成派は、▽再生可能エネルギーに比べて発電コストが安い、▽台湾はエネルギー自給率が低い。石炭や天然ガス(LNG)の安全在庫の7~36日分に比べ、原発は18~36カ月、▽台湾封鎖されても、軍や政府、医療機関に電力供給できる、▽原発は世界でクリーンエネルギーと見なされている、▽第3原発は一度も重大な事故なく、運転期間40年を迎えた。世界では原発110基が40年以上運転している──と主張しました。
反対派としてTPCの曽文生・董事長は、今年5月に核子反応器設施管制法(核管法、原子炉等規制法に相当)が改正され、原発の運転期間を最長20年延長できるようになり、子法が広告され次第、TPCは安全検査を開始する予定だと説明。TPCが安全検査を終え、主管機関が審査し、リスクを説明してから、住民に問うべきだと主張しました。
行政院能源減碳辦公室の林子倫・副執行長は、▽台湾は地震が多い。第3原発は老朽化し、耐震性が不十分、▽戦時に軍事攻撃を受ける可能性がある、▽稼働再開のコストは高額で、台湾社会が次世代まで負担を負う──と訴えました。
■世論調査、賛成66%
台湾の脱原発のきっかけは、2011年に発生した東日本大震災の福島第一原発事故。当時「日本ができないことを台湾ができるのか」と脱原発ムードが高まりました。16年、脱原発を公約に掲げた民進党の蔡英文氏が総統選挙で当選。25年の脱原発目標に向け、洋上風力や太陽光など再生エネルギーを推進しました。
頼清徳・総統は24年5月の就任前後から、「原発は非常時に必要」、「新しい原発は選択肢」など条件付きで原発を容認するような発言を繰り返しています。
台湾永続能源研究基金会(TAISE)が意見発表会前に発表した世論調査では、2050年までの温室効果ガス実質排出量ゼロ(ネットゼロ)実現に向け、原発に賛成する市民は66.1%で前年比7.8ポイント上昇しました。
ドイツに続き脱原発を実現した台湾の市民は、どの未来を選ぶのでしょうか?
青木樹理
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