ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

第63回 輸入車がお安く?トランプ関税の貿易交渉で


ニュース その他分野 作成日:2025年6月9日_記事番号:T00122137

ワイズニュースこぼれ話

第63回 輸入車がお安く?トランプ関税の貿易交渉で

 個人消費を示す経済指標の一つ、新車販売台数は3月、4月、5月と前年割れが続いています。いわゆるトランプ関税、米国の相互関税が90日間停止となり、米国と各国の貿易交渉が続く中、7月9日以降の景気見通しが不透明ということのほかに、米国との非関税障壁を解消するため、台湾が輸入関税や貨物税(物品税)の税率を引き下げ、台湾で輸入車の価格が下がるのではないかという、消費者の目論見があるようです。

/date/2025/06/09/20car_2.jpg

4月新車販売11%減、米国関税で模様眺めムード

https://www.ys-consulting.com.tw/login/?next=/news/121472.html

5月新車販売23%減、貨物税引き下げ検討で購入見合わせ

https://www.ys-consulting.com.tw/news/122028.html

■数十万元の節税に

 台湾で消費者が購入する輸入車は、関税が17.5%かかり、さらに貨物税が25%か30%、営業税が5%かかります。車の価格が300万台湾元(約1400万円)以上の場合は、奢侈税(ぜいたく税)が10%かかります。このため、台湾の価格は1.6~1.7倍に膨らみます。

自動車貨物税の引き下げ検討、対米関税交渉で

https://www.ys-consulting.com.tw/news/121312.html?pop=&frm=

 米国の貿易交渉の結果、これらの関税、貨物税、営業税などが引き下げられることになれば、車の購入費用が数十万元単位で軽減する可能性があるので、消費者が様子見になるのも当然でしょう。

■関税引き下げ、賛成が7割

 台湾の野党、時代力量の2023年の世論調査ですが、輸入車の関税、貨物税引き下げに賛成している人は70%に上ります。

 米国からの輸入車は、▽電気自動車(EV)大手のテスラ(モデル3、モデルS、モデルX)、▽BMW(X4、X5、X6、X7、XM)、▽メルセデス・ベンツ(GLE、GLEクーペ、GLS)、▽トヨタ(シエナ)、▽日産(インフィニティQX60)、▽フォード(マスタング)──。人気車種が並びます。

■元高で輸入車人気に

 新車販売市場はもともと台湾生産車が多数を占めていましたが、元高効果で2013年に輸入車シェアが3割を突破、その後も輸入車人気が続き、今年5月は輸入車が50.8%と、過半を占めました。

日系輸入車シェア奪回にアクセル 2015年8月7日

https://www.ys-consulting.com.tw/news/58595.html

輸入車シェア拡大、台湾元高進行で 2017年11月24日

https://www.ys-consulting.com.tw/news/74135.html

 1米ドル=30元前後と、2年ぶり元高水準となる中、米国との貿易交渉の結果次第で、下半期(7~12月)は輸入車のリベンジ消費(報復性消費、自粛の反動)が起こるかもしれません。

青木樹理

青木樹理

ワイズメディア

日本、台湾での金融機関勤務を経て、ワイズニュース創刊年の2007年に入社。副編集長を経て20年より編集長。台湾経済・産業の動向を分かりやすくお伝えするため、台湾社会をウオッチしながら生活しています。

ワイズニュースこぼれ話