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第64回 投票の夏、台湾史上最大の大罷免


ニュース 政治 作成日:2025年6月23日_記事番号:T00122413

ワイズニュースこぼれ話

第64回 投票の夏、台湾史上最大の大罷免

 最大野党、国民党の立法委員(国会議員)24人の罷免(ひめん、リコール、解職請求)の賛否を問う投票が7月26日に行われることが決まりました。

 投票の結果、リコールが成立すれば、公告から3カ月以内にも補欠選挙が行われます。その結果次第で、少数与党のねじれ国会で混乱が続く立法院(国会)の勢力図が書き換わる可能性があります。

■3カ月以内に補欠選挙

 リコールの賛否を問う投票は、それぞれの選挙区で行われ、賛成票が反対票を上回り、かつ有権者の4分の1以上に達すれば、リコールが成立します。8月1日まで(7日以内)に結果が公告され、同日、解職されます。公告から原則3カ月以内に補欠選挙が行われます。

 他7人も審査中で、別日程でもリコール投票が行われる可能性があります。

 ちなみに、第3原子力発電所(屏東県恒春鎮)の再稼働の是非を問う住民投票が8月23日に行われます。この住民投票とリコール投票は別物です。

■ねじれ国会解消か

 立法委員が就任満1年を迎える2025年2月1日からリコール請求が可能になるため、市民団体が国民党の立法委員の提議書を中央選挙委員会に提出しました。民進党の立法委員の提議書提出も相次ぎ、合わせて50件に上り、台湾史上最大の「大罷免」と呼ばれています。なお、リコールの対象は、小選挙区・原住民の立法委員のため、全員が比例代表で選出された台湾民衆党は対象外です。

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 リコール合戦に突入したのは、2024年1月の総統選挙で、民進党の頼清徳氏が選出された一方、立法委員選挙では民進党が51議席しか獲得できず、少数与党のねじれ国会となったことがきっかけです。最大野党の国民党も52議席で過半数を取れませんでしたが、台湾民衆党の8議席と結託して、▽立法院職権行使法などいわゆる「国会改革関連法」▽中央政府の予算を減らす財政収支劃分法(財政収支分配法)──など中央政府の権力を弱める法案を次々と成立させました。昨年5月には「民主主義を守れ」と市民の大規模な抗議活動「青鳥行動(青い鳥運動)」が行われました。

 頼・総統の政権運営の厳しさは予想されていましたが、立法院の混乱は想定以上でした。総統や立法委員の任期は4年。外交や経済面でも数々の試練に直面する中、有権者の意思を再確認し、仕切り直すタイミングかもしれません。

青木樹理

青木樹理

ワイズメディア

日本、台湾での金融機関勤務を経て、ワイズニュース創刊年の2007年に入社。副編集長を経て20年より編集長。台湾経済・産業の動向を分かりやすくお伝えするため、台湾社会をウオッチしながら生活しています。

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