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第79回 アルバイトの労働時間が、1日8時間を超える場合


ニュース 法律 作成日:2014年12月22日_記事番号:T00054520

知っておこう台湾法

第79回 アルバイトの労働時間が、1日8時間を超える場合

時間外労働手当の支給必要

 労働部の最近の見解によれば、アルバイトには労働基準法における弾力的労働時間制度は適用されない。すなわち、アルバイトの1日の労働時間が8時間を超える場合、雇用主は労働基準法に基づき時間外労働手当を支給しなければならず、これに違反した場合、使用者には2万台湾元以上、30万元以下の過料が科される。

 労働基準法第30条には「(第1項)労働者の1日の通常労働時間は8時間を超えてはならず、2週間の総労働時間数は84時間を超えてはならない。(第2項)前項の通常労働時間は、雇用主が労働組合の同意を得た後または事業者組織内に労働組合がない場合は労使会議の同意を得た後、その2週間以内の2日間の通常労働時間数を他の労働日に振り分けることができる。他の労働日に振り分けられるその時間数は、1日2時間を超えてはならない。ただし、1週間の総労働時間数は48時間を超えてはならない」と規定されている。すなわち、労働者の1日の労働時間は原則として8時間を超えてはならないが、雇用主は営業上の必要に応じて、労働組合または労使会議の同意を受けた場合に限り、2日間の通常労働時間数を他の労働日に振り分けることができる。これがいわゆる弾力的労働時間制度である(「変形労働時間制」とも言われる)。

 最近、ある有名なお店でアルバイトに1日10時間労働させ、事業者が弾力的労働時間制度の実施を理由としてアルバイトに対する時間外労働手当の支給を拒む、という事件が発生した。これに対し労働部は、「弾力的労働時間制度はそもそも、事業者が営業上の必要に対応し、また、正社員の労働手配における問題を解決することをサポートするためのものであり、アルバイトは基本的に臨時的、短期的な業務に該当するため、弾力的労働時間制度は適用されない」という見解を示した。

1日12時間超えは禁止

 労働部はさらに「アルバイトが1日8時間を超えて労働する場合、労働基準法第24条の規定に基づき、雇用主は、9時間目、10時間目については通常の1時間当たりの賃金の3分の1以上の時間外労働手当を支給し、11時間目、12時間目については3分の2以上の時間外労働手当を支給しなければならず、また、1日の労働時間は時間外労働時間を含め、12時間を超えてはならない。また、違反した雇用主には、同法第79条の規定に基づき、2万元以上、30万元以下の過料が科される」と説明した。

 以上の説明に基づき、台湾の日系企業は速やかに社内のアルバイトの1日の労働時間数を確認し、8時間を超える場合には処罰を受けないよう時間外労働手当を支給すべきである。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。 

黒田法律事務所・黒田特許事務所

1995年に設立、現在日本、台湾、中国の3カ所に拠点を持ち、中国法務に強い。 現在、13名の弁護士、6名の中国弁護士、2名の台湾弁護士、1名の米国弁護士及び代表弁護士を含む2名の弁理士が在籍しており、執務体制も厚い。
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蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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