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第162回 商品広告不実の法的責任


ニュース 法律 作成日:2016年9月26日_記事番号:T00066594

知っておこう台湾法

第162回 商品広告不実の法的責任

 公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)は2016年9月7日、「【日本VERTEX】遠赤外線エネルギー大量発汗長ズボン」商品(以下「本商品」という)の広告が不実であるとして、公正取引法第21条に基づき、売主である富邦社と供給業者である英橋社に対してそれぞれ180万台湾元、60万元の過料を科した。本件の概要は以下の通りである。

 富邦社と英橋社は台湾で知名度のある「momoテレビショッピングチャンネル」において共同で本商品を販売する際、広告の中で「本商品をはくと、すぐに6度上昇し、新陳代謝が78%アップし、864カロリーを消耗し、脂肪を撃退する」などの効果をうたい、またこの效果は外部機関による実験によって証明されたと説明した。

 ところが、公平会の調査の結果、「すぐに6度上昇する」という実験証明とは、本商品を500ワット(W)のハロゲンランプで10分間照射した後に6.87度上昇したことを指すものであって、人がはいた後に体温が6度上昇するものではなかった。またこのほかにも、人が本商品をはいた後に新陳代謝がアップし、脂肪を減少させるという効果を証明する資料はなかった。

 公正取引法第21条には「(第1項)事業者は商品もしくはその広告においてまたはその他公衆に周知させる方法により、商品に関連し取引決定に影響を及ぼすに足る事項について、虚偽・不実のまたは他者を誤認させる表示または表徴をしてはならない。(第2項)前項でいう商品に関連し取引決定に影響を及ぼすに足る事項には、商品の価格、数量、品質、内容、製造方法、製造日、有効期限、使用方法、用途、原産地、製造者、製造地、加工者、加工地、およびその他の誘致効果を持つ関連事項が含まれる。(第3項)事業者は前項の虚偽・不実のまたは他者を誤認させる表示のある商品を販売、輸送、輸出または輸入してはならない」と規定されている。公平会は、富邦社と英橋社の本商品についての広告は、上記の条文の規定に明らかに違反していると判断した。よって同法第42条に従って両社にそれぞれ180万元、60万元の過料を科した。

 ここ数年、公平会による商品広告の不実に対する取り締まりおよび処罰は、ますます厳しくなる傾向を見せているため、日本企業が台湾において商品を販売し、広告を掲載する前には、処罰を受けないように広告でその効果をうたうのに十分な根拠があるか否かを慎重に確認した上で外部の法律専門家に広告の用語、内容が台湾法規に合致するかを確認してもらうことをお勧めする。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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