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第166回 台湾法上の「違約金」について


ニュース 法律 作成日:2016年11月7日_記事番号:T00067271

知っておこう台湾法

第166回 台湾法上の「違約金」について

 「違約金」とは、債務履行の確保を目的として契約当事者が約定する、債務者が約定義務を履行しない場合に支払わなければならない金銭である。台湾法上、違約金は以下の2種類に分けられる。

1.損害賠償的違約金。これは、当事者間で「債務者は債務不履行事由がある場合、一定額の金銭を債権者に支払う」と約定し、かつ当該金銭を債務者の債務不履行時に債権者が受ける損害賠償金の総額とするものである。

 同違約金の法的根拠は、民法第250条第1項「当事者は、債務者が債務を履行しない場合には違約金を支払わなければない旨を約定することができる」および第2項「当事者間に別段の約定がある場合を除き、違約金は、不履行による損害の賠償金の総額と見なす。債務者が適切な時期または適切な方法で債務を履行しないときに違約金を支払う旨を約定している場合、債権者は債務の履行を請求できる。また違約金は、適切な時期または適切な方法で債務を履行しないことによる損害の賠償金の総額と見なす」である。

2.懲罰的違約金。これは、当事者間で「債務者に債務不履行事由がある場合、債権者は損害を受けた部分について賠償および一定額の金銭を請求できる」と約定した場合の金銭を指す。注意すべきは、契約当事者間で懲罰的違約金の規定を設ける場合、単に「違約金」と記載すると通常は前述の損害賠償的違約金と解されるため、「懲罰的」と明記しなければならない点である。

違約金額は自由に設定可能

 違約金の額は、基本的に契約当事者が自由に約定できる。ただし、約定額が高過ぎる場合、違約当事者は民法第252条「約定した違約金が高過ぎる場合、裁判所は、適切な額に減額できる」に基づき、減額を裁判所に請求できる。約定額が高過ぎる場合としては例えば、100万台湾元の価値を持つ売買対象物について、違約当事者は相手方に1,000万元の懲罰的違約金を支払わなければならないと約定する場合などが考えられる。

 企業は取引相手と契約を締結する際、適切に「違約金」の条項を設けることで、相手方の違約を効果的に防止できる。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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