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第164回 公正取引法における「欺罔または公正さに欠ける行為」


ニュース 法律 作成日:2016年10月17日_記事番号:T00066921

知っておこう台湾法

第164回 公正取引法における「欺罔または公正さに欠ける行為」

 公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)は2016年9月14日、コンビニエンスストア「全家便利商店股份有限公司(ファミリーマート、以下「全家公司」という)」に対し、同社の行為が公正取引法第25条の「欺罔(ぎもう)または明らかに公正さに欠ける行為」を構成しているとして、300万台湾元の過料を科し、さら2カ月以内に是正することを要求した。

 本件の発生は、公平会がフランチャイズ加盟店から次のように告発を受けたことによる。

 全家公司はフランチャイズ加盟店に対し、その発注規定を順守し、販売量が仕入量の一定割合を超えてはならないことを要求していた。フランチャイズ加盟店が発注規定に違反し、または販売量が仕入量の一定割合を超えた場合、全家公司から警告などの処分を受けるとしていた。ところが、全家公司はフランチャイズ加盟店に対し、事前に発注規定などを十分に開示していなかったのである。

情報開示が不十分

 公平会は調査の結果、告発内容は真実であると判断し、次のように指摘した。

 全家公司のフランチャイズ加盟店に対する発注規定、販売量と仕入量の割合などの制限は、出資者のフランチャイズシステムへの投入コスト、利益およびリスクと密接な関係にあり、出資者が加盟を検討する際の重要事項に該当する。しかし、出資者の加盟前に、全家公司は上述の発注規定などについて書面で十分かつ完全な開示を行っていなかった。そのため公正取引法第25条(本法において別途規定されるもの以外に、事業者は取引秩序に影響を及ぼすに足るその他の欺罔または明らかに公正さに欠ける行為もなしてはならない)に対する違法行為に該当している。

 台湾においてレストラン、服飾などのフランチャイズチェーン事業を経営する日本企業は多く、本件の全家公司と同様な違反をしやすいため、特に注意が必要である。

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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