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第206回 株券の額面価格と株式の分割について


ニュース 法律 作成日:2017年10月2日_記事番号:T00073186

知っておこう台湾法

第206回 株券の額面価格と株式の分割について

 台湾企業が台湾で発行する株券の額面価格は、1979年に公布された「公開発行株券の規格統一要項」によって、一律に10台湾元に統一されていた。しかし14年1月1日に台湾証券交易所(台湾証券取引所、TWSE)が「柔軟な額面価格の株券制度」を開始して以来、発行株券の額面価格は10元に限定されないようになり、企業は自ら株券発行時の額面価格を決定できるようになった。

流動性調整などにメリット

 「柔軟な額面価格」は株価変動の混乱を生じる可能性はあるが、株券の流動性および株価を調整し、または管理コストを削減するなどのメリットもある。

 例えば、台湾で株価が最も高い大立光電(ラーガン・プレシジョン)の17年9月27日の株価は5,400元で、もし1株当たりの額面価格が10元から1元に変更されると、その総発行株式数は現在の1億3,400万株から13億4,000万株になり、株価も10分の1の540元と、1,000株買うのに540万元必要なラーガンの株券は54万元で買えることになる。

極めて少ない株式分割

 なお、日本では額面株式制度が01年に廃止された。額面価格を変更することなく、上記の効果を達成するため、日本の会社法第181条から第183条に基づいて、株式併合または株式分割(例えば、2株を1株に併合し、または1株を2株に分割すること)を行うことができ、それに伴い株価も同じ比率で変わる。

 台湾で14年1月1日から「柔軟な額面価格の株券制度」が開始されてから、間もなく4年が経過するが、申請した会社はわずか1社であり、日本における株式併合または株式分割を行う会社数と比べると極めて少ない。

 証券取引所の分析では、多くの会社は10元の額面価格に慣れており、額面価格の変更は株主総会で決議する必要があるため、特に必要がない場合にはわざわざ額面価格の変更は行わないのではないか、とのことだ。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

鄭惟駿弁護士

鄭惟駿弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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