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第286回 同性結婚特別法の概要


ニュース 法律 作成日:2019年6月10日_記事番号:T00083974

知っておこう台湾法

第286回 同性結婚特別法の概要

 台湾の立法院(国会)が5月17日の三読会で「司法院釈字第七四八号解釈施行法(一般的には『同性結婚特別法』といい、以下『本法』という)」を可決し、同月24日より正式に施行しました。これにより、台湾は同性結婚を合法化したアジアで最初の国となったため、本法は国際的に極めて大きな注目を集めています。

同性間で夫婦関係が成立

 本法の重要な内容は次の通りです。

一.同性結婚の定義

 本法第2条は「性別が同じ2人は、共同生活を営む目的で、親密性および排他性を有する永久的な夫婦関係を成立させることができる」と規定しています。

二.同性結婚成立における制限

 本法第3条第1項は「18歳未満の者は、第2条の関係を成立させることができない」と規定。第5条第1項は「次の各号の性別が同じ親族は、第2条の関係を成立させることができない」とし、各号の内容として以下の3点を挙げています。

1.直系血族および直系姻族

2.4親等以内の傍系血族。ただし、養子縁組によって成立した4親等の傍系血族で同世代の者についてはこの限りでない

3.5親等以内の傍系姻族で同世代ではない者

 また、第7条第1項は「配偶者がいる者または第2条の関係を既に成立させている者は、第2条の関係をさらに成立させることができない」と規定しています。

三.同性結婚における離婚

 第17条第1項は「第2条の関係にある当事者の一方が次の各号の事由のいずれかに該当する場合、他方は裁判所に対し第2条の関係を終了させることを請求できる」とし、その事由として以下の9点を挙げています。

1.他の者と重ねて民法に定める結婚をした、または第2条の関係を成立させたとき

2.第2条の関係にある者以外と和姦(わかん)したとき

3.第2条の関係にある一方が他方を虐待し、共同生活を継続できなくなったとき

4.第2条の関係にある一方が他方の直系親族を虐待した、または第2条の関係にある一方の直系親族が他方を虐待したことにより、共同生活を継続できなくなったとき

5.第2条の関係にある一方が悪意をもって他方を遺棄し、継続状態にあるとき

6.第2条の関係にある一方が他方の殺害を企図したとき

7.重大な不治の病にかかったとき

8.生死不明となってから3年を経過したとき

9.故意の犯罪により、6カ月超の有期懲役の実刑判決が確定したとき

四.同性結婚における養子縁組

 第20条の規定によると、同性結婚を成立させた双方は、他方の実子を養子にできますが、双方と血縁関係のない者は養子にできません。

五.同性結婚の継続

 第23条の規定によると、同性結婚を成立させた双方は互いに法定相続人となり、相続の順位は異性間結婚における配偶者と同じです。

 メディアの報道によると、本法の施行以来、台湾では現時点で既に500組を超える同性カップルが同性結婚の登記を完了しています。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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