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台湾化粧品業界が注目している「サステナビリティ経営」


リサーチ 経営 マーケティング 台湾事情 その他 作成日:2023年2月9日

Y'sの業界レポート

台湾化粧品業界が注目している「サステナビリティ経営」

記事番号:T00107946

台湾は政治的理由で国連の加盟国ではないが、国連が掲げる持続可能な開発目標SDGs、温室効果ガス削減、汚染の予防と改善などサステナビリティに関する政策に呼応し、独自の取り組みを進めている。

 

台湾の20代に支持されるエコブランディング

 2021年台湾消費者のサステナビリティに配慮した消費行動(リサイクル商品やCO2排出量の少ない商品の購入など)の消費金額は587億台湾ドル(約2,668億円)で、そのうち40%は20~30代の若者により形成されている。若者は環境への影響が少ない商品を購入する傾向があり、自分の価値観に沿ったブランドを選択する。また、環境の持続可能性の消費以外に、男女平等、包容、社会的影響を提唱する企業も若者に評価される。

 サステナブルや倫理的消費への意識が広がっており、化粧品業界の企業も自社のブランドイメージを上げるために、サステナビリティに注力する企業が増加している。例えば、お茶の実(茶籽)を使ったソープ類用品のオーガニックブランド茶籽堂(cha tzu tang)や、乾燥コーヒーかすをPLAと混ぜ合わせ、100%生分解可能なボトルを作る欧萊德(O’right)などが挙げられる。ほかに、企業がよく行うサステナビリティ活動として、空き瓶のリサイクル、プラスチックの削減と自然由来・オーガニック成分の利用などが挙げられる。今後のトレンドとして、二酸化炭素排出量の削減が重要視されている。

 

台湾中小企業はB Corp企業認証に注力

 2015年に国連サミットで「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されたことにより、サステナビリティの重要性が広まっており、世界中はサステナビリティを重視し始めてきた。なお、台湾の化粧品業界も現在「サステナビリティ経営」に注力し、企業価値の向上を目指している。台湾の中小企業は国際ブランドなどのOEMとODM生産をしているが、実力と品質があるのにグローバル上での知名度が低い。このような背景で、事業転換、およびグローバル市場に認知されるように、グローバル的なサステナビリティ認証の取得に注力する企業が増えている。

 中でも、B  Corp企業認証というサステ ナビリティ認証が特に重視されている。B Corp企業認証とは、アメリカの非営利団体「B Lab」によって始まって、環境や社会の持続可能性を考慮し社会への説明責任を引き受ける企業に与えられる認証のことで、台湾においてB Corp企業認証取得企業数はアジア全体において3割程度を占めて1位であり、現在35社がある(2022年12月時点)。

 

サステナビリティ経営のカギを握る台湾B CORP企業「GREENVINES緑藤生機」

 緑藤生機(GREENVINES)は​​台湾スキンケアブランドであり、台湾では2番目にB Corp企業認証を取得した企業である。また、創業してから7年を経て、年間1億台湾元(約4億3,800万円)の売上げを達成した上、アジアで唯一5年連続B Corp企業の「Best for Environment」(ベスト環境賞)を受賞した企業である。同社は農業技術の活用 により、人々の健康と環境への貢献ができる会社を作ると考え、2010年にGREENVINESを設立した。創業当初は「有機スプラウト」の栽培からはじまり、天然なスプラウトを育て販売し、2013年に世界初有機スプラウト成分を活用したパーソナルケア用品事業を開始した。

 緑藤生機の魅力というと消費者と長く深い関係を築いていることである。消費者向けに、21Days of Greenなどのサステナビリティイベントを行い、毎年の3~4月に21日のグリーン行動を発表し、消費者のサステナビリティ意識を高める。仕組みとしては緑藤生機のLine公式アカウントから、一日1つのグリーン行動を登録者に知らせる。参加者は当該行動を行なったら、「完成+1」を押す。また、消費者のグリーン行動回数によって、1回につき10台湾元の献金を環境保護団体に寄付する。

 また異業種の提携によって、自社と他社のブランド価値の向上につながるイベントを開催する。例えば、21Days of Greenのイベントで21社の企業と提携し、イベント参加者に生涯ギフトの抽選を行う。抽選に当たった場合は、企業から一生分のギフト券をもらえる。また、消費者からリサイクルした空き瓶を回収業者に渡し、回収と再生を行い、ガラス原材料として再利用する。さらに、緑藤生機は2020年に日本の「村上農園」と技術提携し、高栄養野菜ブランド「一寸鮮」を発売した。

 緑藤生機は10年以上にわたり、スプラウトの栽培からスキンケア用品の製造までサステナビリティ意識を持って一貫して歩み続け、そして生鮮食品ブランド「一寸鮮」も確立している。これら一見相反の分野で業界を越えているが、3人の共同創設者は持続可能性の今後の傾向であると信じて、より持続可能な選択肢が生活の中で芽生えることを望んでいる。

 

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