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【ワイズリサーチ】台湾3DIC製造装置産業の現況


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2014年12月25日

機械業界 電子・半導体

【ワイズリサーチ】台湾3DIC製造装置産業の現況

記事番号:T00062766

 科学技術の進歩に伴い、各種電子製品の薄型軽量化を受けてシステムの性能と複雑性の継続的な向上が要求される中、半導体製造プロセスや部品設計、製造装置などに関する物理的限界から、平面上の微細化においてムーアの法則(半導体の集積密度は18~24カ月で倍増する)のペース鈍化に直面する半導体集積回路業界では近年、「モア・ザン・ムーア(More than Moore)」の追求に向け、高密度、低消費電力、高効率というメリットを備える立体構造の製造プロセス技術「3DIC(3次元集積回路)」が注目を集めている。
 
可能性を秘める
台湾3DIC製造装置産業

 3DICの製造プロセスには非常に多くのステップが存在し、現在業界では低コストかつ歩留まりの高い3D構造の開発に心血が注がれおり、TSV(シリコン貫通電極)の作成、ウエハーの薄化、ウエハーボンディングといった各プロセスの順序を含め最適な手法の模索が進められている。

 こういった中、3DIC製造装置に関して台湾ではまず、リソグラフィー工程の分野でマイクロメートルレベルの両面マスク・アライナーおよびパターン検査装置(AOI)の発展が見込まれる。

 同クラスの露光装置としては志聖工業(C SUN MFG)がステッパー、帆宣系統科技(マーケテック・インターナショナル)がエンボス装置においてTSVプロセスやRDLプロセスに応用可能な1〜3マイクロメートル規格を目標に開発を進めている。またレジスト塗布装置について台湾には有能なメーカーが多数存在し、▽志聖科技▽億力鑫系統科技(ELS System Technology)▽帆宣系統科技――といったメーカーはいずれも半導体規格の装置を製造することができる。

 AOI装置では牧徳科技(MACHVISION)が台湾の同分野をリードしており、蓄積された技術力を基にプリント基板(PCB)、半導体(3DICを含む)、光電分野に応用可能な製品を製造している。

 ドライエッチング装置の分野では▽志聖工業▽聚昌科技(AST)▽京鼎精密科技(Foxsemicon)▽力鼎精密(Leading Precision)▽帆宣系統科技――といったメーカーが半導体向け製品の製造能力を備えている。3DICのTSVプロセスにおけるエッチングは一般の金属層および誘電体層から成るものとは異なり、安定したボッシュプロセス技術が重要となるが、上記メーカーのうち力鼎精密は已に200ミリメートル基板での関連装置開発経験を持ち、かつ台湾の大手封止・検査業者への納入を果たしているため、12インチウエハー工場での3DIC向けドライエッチング装置開発においても優位な地位にあると考えられる。

 一方、ウェットプロセス装置は台湾の3DIC装置産業において最も発展が進んだ分野と言える。ウエハー薄化にはスピンエッチャー、またはスピンクリーナーが必要となるが、同分野に最も早くから参入している弘塑科技が現在市場シェアでもリードしており、これに辛耘企業が対抗する状況となっている。またウエハー洗浄装置市場では億力鑫系統科技が市場の期待を集める新製品を開発している。

 3DIC専用の電解めっき装置は現在、漢民科技(エルメス・エピテック)と嵩展科技の2社が開発を行っている。一方、物理蒸着(PVD)・化学蒸着(CVD)めっき装置の台湾メーカーは従来、海外大手設備メーカーとの合弁または組み立てメーカーのみとなっていたが、近年では▽志聖工業▽聚昌科技▽京鼎精密▽力鼎精密▽帆宣系統科技――など半導体向け関連装置の開発力を備えたメーカーが出現しつつあり、既に半導体配線形成工程(BEOL)や大手封止・検査業者で採用されている。 3DICのパッケージング分野においては志聖工業のボンディング装置が半導体の末端メーカーで使用されているが、帆宣系統科技のはんだボール搭載機などは依然、認証テスト段階にある。このほか、公準精密が開発した金属複合材料を使用して開発した高精度バルブは長期にわたり、リソグラフィ、エッチング、コーティング関連の大手半導体製造装置メーカーに採用されている。

台湾3DIC装置産業発展に向けた課題

 世界半導体産業の急激な環境変化に応じ、3DIC装置産業の発展が求められる中、台湾では産官学の各界が十全な半導体産業チェーンを構築することが同産業全体の競争力に決定的に左右するとの共通認識で一致している。しかし、台湾半導体製造装置産業の歴史は米国やオランダ、日本に遠く及ばず、技術的基礎が不十分な上、中国製の3DIC装置が既に台湾のサプライチェーンに参入しており、業界メーカーに対する競争圧力は日々高まりつつある。

 こういった中、台湾3DIC装置産業の育成においては各企業の自助努力のみに頼るのではなく、かつてのファウンドリー産業育成と同様、政府や研究機関がより積極的な役割を果たすべきと考えられる。政府期間がより多くのリソースと人材を投じ、民間企業と共同で周到な発展戦略を練り、計画を確実に実行することではじめて世界レベルの半導体製造装置メーカーを育成することが可能となろう。

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