ワイズコンサルティング・グループ

記事番号：T00062868

一、はじめに

モバイル機器やモノのインターネット（ＩｏＴ）といった新たなハイテク応用分野の発展を受けて、世界の半導体産業の好況が続いている。各社が先進技術への投資を進めており、2014年における半導体設備の世界市場規模は384億米ドル（約1.1兆台湾元）で前年比20.8％の成長となった。15年はこれを上回る426億米ドル（約1.3兆台湾元）となる見通しだ。台湾半導体設備の設備支出は10年から14年まで５年連続で世界最高額となった。14年には世界全体の29％を占め、15年もこの勢いは続く見込みだ。台湾半導体設備業界は台湾製品の使用率が上がっており、漢民微測科技（エルメス・マイクロビジョン、ＨＭＩ）、帆宜系統科技（マーケテック・インターナショナル、ＭＩＣ）、弘塑科技（グランド・プラスチック・テクノロジー）などが株式市場に活況をもたらすことが期待される。


二、台湾半導体設備産業の現状

　電子ビーム検査装置で知られる漢民微測は、すでに28ナノメートル先進製造プロセスにおける検査測定設備市場で約85％のシェアを占めている。半導体メーカー各社は20ナノメートル以下の製造プロセスの採用を進めており、同社の需要は今後も拡大していくだろう。アプライド・マテリアルズ（ＡＭＡＴ）、ＡＳＭＬ、東京エレクトロン、ラムリサーチといった海外の主要設備業者も、台湾に研究開発、訓練、生産拠点を設けており、台湾企業と提携してシステムおよび部品の開発を進めている。主要部品メーカーのグリーンツィード、樫山工業、日本セラテックなど各社も台湾に工場を設置し、部品供給を行っている。
　
弘塑科技、辛耘企業（Scientech）、力鼎精密（Leading Precision）、科毅科技（M&R Nano Technology）など各社は、８インチウエハー工場向けの先進封止市場で地位を確立しており、12インチ工場向け設備の開発も進めている。従来型の封止設備関連企業には、ダイボンダーとチップソーターの均豪精密工業（ギャラント・プレシジョン・マシニング、ＧＰＭ）、はんだボールマウンタの万潤科技（オールリング・テック）、検査設備の致茂電子（クロマ）、詳維科技（OptiViz）、基丞科技（KI-GIANT Technology）、台湾暹勁（Prov Technology）、乗遠企業（Top Forward Science）、レーザー加工設備の鈦昇科技（E&R0Engineering）および盛技精密（ＧＰＣ）などがある。

　このほか近年、博磊科技（Zen Voce）の12インチウエハー切断装置、均豪精密の12インチウエハー向けチップスタッキング装置、力鼎精密と弘塑科技の12インチウエハー向けバンプ下冶金（ＵＢＭ）装置およびエッチング装置など、新たな設備も開発されている。

　志聖科技のベーキング処理およびパッケージング向け露光装置、均豪精密のダイボンダー、漢民微科の電子ビーム検査装置などが半導体設備のサプライチェーン入りを果たしている。また部品方面では、家登精密工業（Gudeng、グデン・プリシゾン・インダストリアル）、帆宜系統科技、上銀科技（ハイウィン・テクノロジーズ）、公準精密工業（Gongin Precision）、竑騰科技（ＨＴＡ）、漢民科技（エルメス・エピテック）、栄衆科技（アレスグリーンテクノロジー）など各社がサプライチェーンに参入。ＡＳＭＬ、ＡＭＡＴ、東京エレクトロンなどに部品を供給している。

三、将来の展望

工業局は台湾メーカーの３ＤＩＣ技術の製造プロセスおよび設備開発に対して支援を行っている。またエンドユーザー、台湾・海外の設備メーカー、学術研究団体など多方面と提携して台湾製完成設備の開発を進めている。さらに台湾メーカーの製造技術向上、海外メーカーのサプライチェーンへの参入、在台海外企業による台湾製品の調達規模拡大をサポートしている。

政府支援の下、半導体製造設備の台湾製品使用率は2006年の６％から14年には19.1％まで増加した。消耗部品では06年の18.3％から14年には55.2％前後まで上昇している。台湾メーカーの研究開発規模は海外の大手メーカーには及ばないが、台湾企業の国際競争力を強化し、産学一体となって重要設備と部品の開発を進めることが重要である。今後、台湾半導体設備産業は、製造設備と消耗部品の台湾製品使用率を引き上げ、末端製品の競争力の向上を目指し、次世代産業の領域に一刻も早く足を踏み入れるべきだろう。