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《台湾有事》中国の軍事演習2日目、今後常態化の懸念も【図表】(トップニュース)/台湾


ニュース 政治 作成日:2024年5月24日_記事番号:T00115495

台湾有事

《台湾有事》中国の軍事演習2日目、今後常態化の懸念も【図表】(トップニュース)/台湾

 中国が「台湾独立(台独)勢力への制裁」として台湾を取り囲むように実施している陸海空軍やロケット軍などの合同演習「聯合利剣-2024A」は2日目(最終日の予定)に入った。国防部は24日午前、23日午前6時から24日午前6時までの24時間に台湾周辺の空海域で、中国軍の軍機延べ49機、中国軍の艦艇19隻と中国海警局(海上保安庁に相当)の船舶7隻の活動を確認したと発表した。中国軍の実弾射撃訓練は確認していない。軍機も艦艇も台湾の制限水域(沿岸から24カイリ=接続水域に相当)の外側にとどまっているが、中国海警局の船舶は離島の大坵島(金門県烏坵郷)周辺を航行し、沿岸から2.8カイリ(約5キロメートル)まで接近した。昨年4月と8月の大規模軍事演習と比べると投入戦力は多くないものの、演習区域を離島にも広げており、今後、軍事演習が常態化し、毎年5月20日前後に毎回実施される可能性も指摘されている。24日付中国時報などが報じた。

/date/2024/05/24/00warship_2.jpg台湾の海巡署は23日、国防部と共同で、艦艇や船舶23隻を派遣して、中国軍の動向を監視したと説明した(23日=中央社)

 国防部は23日午後5時にも臨時記者会見を開催し、艦艇15隻と中国海警局の船舶16隻を確認し、うち中国海警局の船舶4隻が台湾東部の海域を航行し、3隻が南西の海域、9隻が離島付近を航行したと説明した。国防部は即座に応変中心(対応センター)を立ち上げ、顧立雄・国防部長が指揮を執り、随時情報収集と対応に当たっていると説明した。海軍や海洋委員会海巡署の艦艇、船舶を派遣して中国の艦艇を監視・駆逐した。

 国防部は23日午後8時にもプレスリリースを発行し、中国軍の戦闘機「蘇愷30(スホイ30)」や「殲16(J16)」など49機が台湾周辺を飛行し、うち35機が台湾と中国の事実上の停戦ラインとされる台湾海峡の中間線を越え、台湾の北部、中部、南西部の防空識別圏(ADIZ)に侵入し、中国艦艇と合同で演習を行ったと発表した。

 基隆港から約56キロメートル沖の彭佳嶼(基隆市中正区)付近では、中国のフリゲート艦「益陽」が台湾の「淮陽」に対し、「台独(台湾独立)が台湾海峡の平和を破壊している。台独のために必死になるな。武力で統一を拒むなら破滅に一直線だ」などと訴えたという。

 中国軍の東部戦区は、今回の軍事演習の装備として新型戦闘機や駆逐艦、揚陸艦(LSD)、弾道ミサイル「東風」などを発表した。弾道ミサイル「東風」は、中国が2022年8月、台湾を取り囲むように実弾射撃を含む大規模軍事演習を実施した際に、台湾周辺海域に11発を発射していた。

頼・総統、軍視察

 頼清徳・総統は23日、桃園市亀山区の海軍陸戦隊を視察した。20日の総統就任後、初めての軍視察だ。

/date/2024/05/24/00lai_2.jpg頼・総統は23日、海軍陸戦隊の無人機(ドローン)やレーダー測定器、ロケット砲などを視察した(23日=中央社)

 頼・総統は、軍を統括する総統と軍が第一線に立ち、国家を守り、国民の生命と財産を守ろうと鼓舞した。外部の脅しに直面し、国際社会の注目が集まる中、自由民主主義と地域の平和と安定を守ると決意を語った。

 総統府の郭雅慧・報道官は23日、地域の平和と安定を維持することは両岸(中台)共同の責任と目標だという立場で一貫していると強調した。中国が一方的な軍事的挑発行為で、台湾の民主主義と自由、地域の平和と安定を脅かそうとしているのは遺憾だと語った。

欧米も非難表明

 米国インド太平洋軍のステファン・スクレンカ副司令官は23日、中国の軍事演習は想定していたとしつつ、憂慮する事態であり、米国のみならず国際社会が非難すべきだと語った。

 欧州連合(EU)は、武力や脅迫で台湾海峡の現状を一方的に変更しようとする行為に反対すると改めて表明した。

離島に圧力

 国防部で勤務経験のある軍事専門家の盧徳允氏は、今回の軍事演習の以前との最大の違いは、軍事演習の範囲が台湾本島に非常に近いことだと指摘した。東部海域では花蓮県から約24カイリに迫っている。台湾政府と台湾軍にとって、これまでにない圧力だと分析した。

 中華戦略前瞻協会研究員の揭仲氏は、今回の軍事演習に離島の包囲・制圧作戦、上陸作戦が含まれていてもおかしくなく、「聯合利剣-2024A」という名称から、今後「B」や「C」の軍事演習が行われる可能性があると指摘した。

 防衛シンクタンク、国防安全研究院の国防戦略・資源研究所の蘇紫雲・所長は、中国は頼・総統の就任後の軍事演習を早い段階で準備していたと指摘した。レッドラインを越えるなと頼・総統に牽制し、米国に不満を表明する政治的メッセージが込められ、戦争に発展する可能性は低いと分析した。

 

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