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第3回 寰瀛法律事務所「顧客への真剣さが違う」


ニュース 法律 作成日:2012年5月28日_記事番号:T00037322

台湾法律事務所特集

第3回 寰瀛法律事務所「顧客への真剣さが違う」

 寰瀛法律事務所(フォルモサンブラザーズ)の所属弁護士は現在46人で5年前より1.5倍に増えた。日本語で対応可能な弁護士は、所長の劉志鵬氏、黄馨慧氏(パートナー)、陳秋華氏をはじめ、7人が所属する。「Ultimate(卓越の追求)」「Unique(独自性)」「United(団結)」「Universal(世界性)」の「4つのU」を基本精神とし、台湾の大手弁護士事務所の中で最も著しい成長を遂げているとされる。


劉志鵬所長(YSN)

 その秘訣について創業メンバーでもある劉所長は、「大手弁護士事務所に所属する弁護士みな優秀で、顧客の立場に立って努力するのもみな同じだ。だが、われわれはその程度が違う」と説明する。フォルモサンブラザーズの創業は1997年で、40年、50年の実績を持つ有名大手に比べると歴史の浅さは否めない。「競争相手は常に95点を取っているので、われわれは96点、97点、98点まで頑張る。そうすることで違いが出てくるのだ」と、案件に非常に真剣に取り組む姿勢を強調した。日系企業からの依頼が増えているのは、そうしたポリシーがクライアントに評価されて、口コミで他の企業に伝わっている面も大きいという。

人事・労務で「ナンバーワン」

 台湾に進出した日系企業は、海外ならではの人事・労務問題に例外なく直面する。フォルモサンブラザーズはこの分野で、実力がナンバーワンと自認している。ほかならぬ劉所長自身が、東京大学留学時代に労働法を専攻し、行政院労工委員会(労委会)の法律委員を24年間にわたって務め立法にも参画するなど、まさに労働法のエキスパートであるためだ。また、同じ東大出身の黄馨慧弁護士も労働法を専門とし、多くの企業の労働問題に対して助言を行い、高い評価を受けている。

 同社はまた、建設プロジェクト関連の法務でも業界有数の強みを持ち、多くの著名案件を担当してきた。劉所長は現在、台湾工程法学会の理事長を務めており、これについては「事務所の業績が評価されたためだ」と語った。

 フォルモサンブラザーズではこのほか、会社法、金融法、知的財産法、M&A、投資、渉外案件など、各分野の案件で、豊富な経験を持つ専門の弁護士がチームを結成し、メンバーが適切に作業を分担することにより、スピーディーかつ顧客のニーズにあった法的サービスを提供している。

社費で日本に留学派遣

 人材育成に多大な労力をかけるのも同社の明確なコンセプトだ。増加する日系企業関連の案件への対応力を高めたいが、日本語のできる台湾人弁護士は少ないため、社内の日本語に興味を持つ若い人材を、社費で日本に留学させている。過去に7人がこの制度を利用し、現在も1人が名古屋大学の大学院に留学中だ。将来事務所に貢献してくれることを見込んでの大胆な先行投資だ。

 「日系企業は海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)を契機として台湾への投資が増えた。総合法律事務所として、常にこうした変化への準備をしておく必要がある」と劉所長は目指すべき姿勢を語る。「常に真剣に対応し、責任を持つことが最も重要」と語るその口調は、クライアントが弁護士事務所に期待するすべてを知り尽くしている自信にあふれていた。

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