ニュース

記事番号:T00037599
2012年6月11日15:34

 本紙に創刊時より「産業時事の法律講座」を連載する徐宏昇弁護士は、ハイテク関連特許やインターネットにおける知的財産権に関する著作も持つ知的財産分野のエキスパートで、顧客の8割が日系企業だ。ゲーム機で有名な日系大手企業の案件も担当している。


徐宏昇弁護士(中)と、劉晏慈弁護士(左)、林怡君弁護士。女性弁護士2人は事務所期待の若手だ(YSN)

 日本語が堪能な弁護士だけで10数人が在籍するような大手事務所とは異なり、徐弁護士の事務所は弁護士4人、アシスタント5人と小規模で、徐弁護士自身、日本語は聞き取れるものの話すことはそれほど得意ではないなど、誰一人として完全には日本語でコミュニケーションが取れない。

 それにもかかわらず日系企業からの依頼が途切れないのは、その実力が高く評価されているためだ。同事務所は2007年から11年まで、取り扱った案件はすべて起訴に持ち込んでいる。07年、EMS(電子製品受託製造サービス)世界最大手、鴻海科技集団(フォックスコン)から特許侵害で提訴された顧客のハイテク企業を弁護した案件で見事勝訴を勝ち取り、逆に鴻海側に315万台湾元の賠償金を支払わせた。また、顧客企業が米マイコン大手、マイクロチップ・テクノロジーから半導体マイクロコードの特許侵害でドイツで訴えられた案件でも、10年に侵害なしとの最終判決を勝ち取っている。

ノウハウ最適化で成果

 こうした大企業と渡り合う裁判で成果を出す秘訣について徐弁護士は、「案件の取り扱いノウハウの研究を重ねて最適化し、実践しているためだ」と説明した。さらに、日系企業からの依頼を多く受ける理由については、「案件の取扱方針を決める際、果たして日本人顧客に受け入れられるか熟考を重ねることがプラスに働いている」と指摘した。徐弁護士が日系企業一般に抱いている印象は、「あまり過激な手法は好まず、実際に効果が出るやり方を重視する」というもので、こうした傾向に合わせて方針を考案している。

 事務所の設立は92年で、特許侵害訴訟と模造品取り締まりを中心とした知財関連に豊富な実績を持ち、売買契約、台湾企業との紛争などビジネス関連案件、日系企業の入札関連の案件などを幅広く取り扱っている。

 徐弁護士は芸術とワインをこよなく愛し、事務所を訪れると台湾の著名画家、陳朝宝氏の作品や、佐藤公聡氏の抽象画など、さまざまな美術品が迎えてくれるのが印象深い。当面の目標は日本人従業員を採用して、日系企業とのコミュニケーション力を高めることだ。また現在、若い弁護士たちの育成に力を入れている。「今まで築いてきた良い経験を次の世代に伝授し、さらに優れたサービスを提供していきたい」と、徐弁護士は充実した実績にふさわしい抱負を語った。

ニュース記事検索