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第58回 独立董事と審計委員会


ニュース 法律 作成日:2014年7月21日_記事番号:T00051639

知っておこう台湾法

第58回 独立董事と審計委員会

 台湾において、株式を公開発行する会社、すなわち公開発行会社は、会社法のほか証券取引法の適用も受ける。証券取引法では、会社法上の会社組織とは別に、独立董事(社外取締役)および審計委員会の2つの制度が規定されている。

1.独立董事

 証券取引法第14の2条第1項は、以下の通り規定している。

 本法により株券を発行している会社は、定款によって独立董事を設置することができる。ただし、主管機関は会社の規模、株主の構成、業務の性質およびその他必要な事情に応じて、独立董事の設置を会社に要求する。会社に独立董事の設置を要求する場合、その人数は2人を下回ってはならず、かつ董事(理事)の人数の5分の1を下回ってはならない。

 独立董事とは、一定の専門知識を持ち、かつ持ち株および兼職も制限されており、職務を遂行する際に独立性を確保できる董事である(証券取引法第14の2条第2項参照)。

 専門知識を持っているとは、例えば会計士、弁護士などの専門資格を持っており、かつ5年以上の職務経験があることを指す(公開発行会社独立董事の設置および遵守事項規則第2条参照)。

 独立性を確保できるとは、公開発行会社独立董事の設置および遵守事項規則第3条に規定されているが、具体的には独立董事に就任する前の2年間および就任中、以下に掲げる事項のない場合などを指す。

(1)就任会社およびその関連企業の被雇用者である場合

(2)本人、その配偶者、未成年の子または他人の名義をもって会社の発行済み株式総数の100分の1以上の株式を保有していること、またはそれらの者の持ち株が上位10位の自然人株主である場合

(3)直接に会社の発行済み株式総数の100分の5を保有している法人株主の董事、監査人(監事)、経理人もしくは持ち株100分の5以上の株主である場合

 また、公開発行会社の独立董事が他の公開発行会社の独立董事を兼任する場合、3社を上回ってはならないとされている(公開発行会社独立董事の設置および遵守事項規則第4条参照)。

 さらに、本法により独立董事を設置する会社において、常務董事を設置する場合、常務董事のうち独立董事は1人を下回ってはならず、かつ常務董事の人数の5分の1を下回ってはならないとされている(公開発行会社独立董事の設置および遵守事項規則第8条参照)。

2.審計委員会

 公開発行会社の監察機関として、監察人の選任または審計委員会の設置を選択することができるが、主管機関は会社の規模、株主の構成、業務の性質およびその他必要な事情に応じて、監察人の代わりに審計委員会の設置を会社に命じることができる(証券取引法第14の4条第1項参照)。

 審計委員会は、独立董事全員により構成されるものとし、人数は3人を下回ってはならず、またその1人は招集者であり、かつ、そのうち少なくとも1人は会計または財務の専門知識を持たなければならないとされている(証券取引法第14の4条第2項参照)。また、会社が審計委員会を設置する場合、本法、会社法およびその他の法律における監察人に対する規定は、審計委員会について準用される(証券取引法第14の4条第3項参照)。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

コラム執筆者
黒田法律事務所 尾上由紀弁護士

早稲田大学法学部卒業。2007年黒田法律事務所に入所後、企業買収、資本・業務提携に関する業務、海外取引に関する業務、労務等の一般企業法務を中心として、幅広い案件を手掛ける。主な取扱案件には、海外メーカーによる日本メーカーの買収案件、日本の情報通信会社による海外の情報通信会社への投資案件、国内企業の買収案件等がある。台湾案件についても多くの実務経験を持ち、日本企業と台湾企業間の買収、資本・業務提携等の案件で、日本企業のアドバイザー、代理人として携わった。クライアントへ最良のサービスを提供するため、これらの業務だけでなく他の分野の業務にも積極的に取り組むべく、日々研鑽を積んでいる。

黒田法律事務所・黒田特許事務所

1995年に設立、現在日本、台湾、中国の3カ所に拠点を持ち、中国法務に強い。 現在、13名の弁護士、6名の中国弁護士、2名の台湾弁護士、1名の米国弁護士及び代表弁護士を含む2名の弁理士が在籍しており、執務体制も厚い。
http://www.kuroda-law.gr.jp/ja/tw/

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尾上由紀弁護士

尾上由紀弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

早稲田大学法学部卒業。 2007年黒田法律事務所に入所後、企業買収、資本・業務提携に関する業務、海外取引に関する業務、労務等の一般企業法務を中心として、幅広い案件を手掛ける。主な取扱案件には、海外メーカーによる日本メーカーの買収案件、日本の情報通信会社による海外の情報通信会社への投資案件、国内企業の買収案件等がある。台湾案件についても多くの実務経験を持ち、日本企業と台湾企業間の買収、資本・業務提携等の案件で、日本企業のアドバイザー、代理人として携わった。クライアントへ最良のサービスを提供するため、これらの業務だけでなく他の分野の業務にも積極的に取り組むべく、日々研鑽を積んでいる。

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