ニュース 法律 作成日:2014年11月10日_記事番号:T00053712
知っておこう台湾法台湾高等裁判所は、2014年10月9日に13年労上易字第120号刑事判決を下し、労働基準法(以下「労基法」という)第12条第1項第4号に規定されている「労働契約または就業規則に違反し、情状が重大である場合」について、従業員の規則違反行為の態様、初回かそれとも2回目以上か、故意かそれとも過失かなどを判断の基準にしなければならず、労働契約または就業規則の内容のみによって重大であるか否かを決めてはならないと指摘した。
本件の概要は以下の通りである。
甲、乙は、もともと丙社に勤務し、それぞれ営業所の副所長、営業員の職を務めていた。丙社は、甲が在任中に管理、監督の職責を果たしておらず、多くの業務員が横領、背任などの規則に違反する状況が生じ、また、乙には無断で会社の製品を低価格で販売したなどの状況があると判断した。従って丙は、甲、乙が就業規則第34条(「業務を怠慢しまたは重要な任務をおろそかにし、会社をして重大な損失をもたらした場合」)に違反したと判断し、労基法第12条第1項第4号に基づき甲、乙を解雇した。それに対し、甲、乙は、丙の解雇が法律に合致していないと判断し、労基法第11条に基づき、丙との労働契約を終了し、かつ丙に対し解雇手当を請求した。
「情状が重大の証拠なし」
裁判所は、審理の上で、甲、乙の勝訴の判決を下した。主な理由は以下の通りである。
1)労基法第12条第1項第4号では、「従業員が労働契約または就業規則に違反し、情状が重大である場合、使用者は予告することなく契約を終了することができる」と規定されています。いわゆる「情状が重大である」は、従業員の規則違反行為の態様、初回かそれとも2回目以上か、故意かそれとも過失か、使用者および営業所にもたらした危険性または損失、従業員の勤務期間などを判断の基準にしなければならず、労働契約または就業規則の内容のみによって重大であるか否かを決めてはならない。また、当該従業員の行為がすでに労使関係を破壊しており、使用者がほかの軽微な手段を利用して引き続き関係者を雇用し難い場合に限り、使用者ははじめてこの規定に基づき労働契約を終了することができる。
2)本件では、丙は、甲、乙が労働契約または就業規則に違反し、情状が重大である事実を十分に裏付ける具体的な証拠を提出していない。
30日過ぎての解雇は無効
3)なお、甲、乙にこのような事実が存在しても、労基法第12条第2項の規定に従って、丙は、甲、乙に労働契約または就業規則に違反する状況が存在することを知ってから30日以内に解雇しなければならない。しかしながら、本件では丙の解雇行為は30日を過ぎているため、丙の解雇は法律に合致していない。
労働者保護の立場に基づき、実務上、裁判官は、通常、使用者による解雇行為の適法性について厳格に審査している。従って、使用者は、従業員の労働契約または就業規則の違反によって従業員を解雇しようとする場合、事前に十分かつ具体的な証拠を収集し、かつ法定期間内に解雇を行わなければならないことに注意すべきである。
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