リサーチ 経営 マーケティング 台湾事情 その他 作成日:2014年4月10日
Y'sの業界レポート記事番号:T00049684
PETフィルムとは
PETフィルムとは、「ポリエチレンテレフタレート」という正式名称の高分子フィルムである。一般のフィルムに比べ強度や耐熱性が優れている。工業用、包装用、磁気テープ、フィルムコンデンサなど向けに幅広く使用されており、光学特性の良さから液晶テレビやプラズマテレビなどの薄型テレビの表面保護や導光板などの部品としても使用されている(図1:産業構造図)。
PETフィルムの主要メーカーは日本、韓国、台湾の企業であり、日本と韓国企業が主な市場シェアを占めている。うち、台湾メーカーは台塑集団(台湾プラスチックグループ)の傘下の南亜塑膠工業(ナンヤ・プラスチックス)と新光合成繊維(新繊)が出資する新科光電材料(新光マテリアルズ・テクノロジー、SHINPEX)である(表1)。
南亜は海外市場が中心
南亜が製造しているPETフィルムは約8割が工業用、食品包装用に使われ、光学用PETフィルムは台湾と中国の少数の企業に提供している。全社PETフィルムの年間売上高のうち、日本と中国への販売が6割弱を占め、中国への輸出は光学用フィルムがほとんどなのに対し、日本への輸出は食品包装用と離型フィルムの作成が中心で、特に医療用の湿布剤用の離型フィルムが中心だ。また、台湾域内の販売が約3割強、転写箔や自動車の遮光フィルムによく利用されており、光学用フィルムは主にプリズムシートメーカーに提供している。
新科光電はグループ内に使用
新科光電のPETフィルムは約7割を台湾域内で販売し、海外への輸出が少ない。全社PETフィルムの年間売上高のうち、3割弱は同グループのプリズムシートを製造している友輝光電(UBライト・オプトロニクス)に提供している。また、新科光電のPETフィルムはラミネート加工しやすいという特徴があり、台湾域内の食品包装、繊維・雑貨品の包装用(軟包装)などの企業に愛用されている。
日本製光学用PETフィルムへの依存
台湾の光電産業は長年、日本製光学用PETフィルムへの依存性が高い状況が続いており、毎年約2万6,000トンを日本から輸入している(図2)。そのうち、南亜と新科光電のPETフィルムを利用しようと考えている企業も少なくない。しかし、テスト生産をした結果、品質の良さで切り替えることができず、日本製PETフィルムを継続して利用している。
現状では、南亜が6割以上を他国に輸出、新科光電も光学用PETフィルムを自グループ内で使用することがほとんどのため、台湾の光電産業はしばらく日本製光学用PETフィルムに依存する状況が続くのだろう。
段婉婷
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