ニュース 法律 作成日:2025年12月1日_記事番号:T00125613
知っておこう台湾法今年10月、高雄少年及び家庭裁判所で、とある夫妻に下された裁定が注目を集めました。
この夫妻が手続きの必要上戸籍を確認したところ、夫の祖母と妻の祖母が実の姉妹であり、翻って夫妻が再従兄妹(はとこ)であることが判明しました。
■6親等以内の婚姻は認めず
前提として、台湾では6親等以内の親族との婚姻は認められておらず、この規定に反して婚姻をしたとしても、その婚姻は無効となります(民法988条1号、同法983条1項2号本文)。そして、再従兄妹は、自分からみて、①父母→②祖父母→③曾祖父母→④大叔父大叔母→⑤(自分の)父母のいとこ→⑥再従兄妹と辿るため、6親等となります。
このため、今回の事案の夫妻は話し合いの末に、夫が、裁判所に婚姻関係不存在確認の調停を申し立て、婚姻関係不存在の原因となっている事実(婚姻関係の不存在)およびその理由(夫妻が6親等内の親族であること)について主張したといいます。そして夫妻は、夫妻間で既に合意ができており、争いがないことを要因として、調停の場で「裁定」(日本法上の「合意に相当する審判」に相当)を申し立てました。裁定を申し立てることにより後続する訴訟を行う必要がなくなり、訴訟手続きを経ることなく、判決と同様の効力を持つ結論を裁判所から得ることができるためです。
そして今回の事案では、夫妻の申し立てに基づき、夫妻の婚姻は無効であって、婚姻関係は存在していないとの裁定が下されました。
■日本なら結婚可能
今回取り上げた夫妻の関係性は、再従兄妹であることが判明するまでは円満なものだったといいます。
日本民法上も優生学に基づく限定はなされているものの、「3親等内の傍系血族」との婚姻が禁じられているのみで、再従兄妹との婚姻は可能とされています。生まれた場所が違えば、夫婦として暮らし続けられたかもしれない。そんな数奇な運命に翻弄されながらも、法を厳守する決断をした夫妻に、一法律家として心から敬意を抱いたニュースでした。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
秋口麻貴弁護士
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