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第3回 婚姻制度の大変革 


ニュース 法律 作成日:2007年7月4日_記事番号:T00001326

産業時事の法律講座

第3回 婚姻制度の大変革 

 
 今年5月に交付された改正民法は、結婚に関する従来の「公開儀式を行い、さらに2名以上の証人がいなければならない」という条文を、「書面で行い、さらに2名以上の証人がいなければならない」と改めました。改正法は公布後一年を経て施行されます。

 この新規定によると、今後結婚は公開儀式の有無にかかわらず、すべて書面契約をもって成立したものとされます。「結婚紙(結婚契約書)」に、「甲乙双方ハ誠心ヲモツテ白首ノ約ヲ締結シ、署名ヲモツテ発效スル。結婚当事者及ビ証人二名ノ署名・日時」と記載することで、結婚が完成したことになります。

 結婚後、もし登記をしなかった場合、戸政事務所(戸籍に関する業務を行う役所)に結婚契約書が残りません。この場合、男女共に結婚契約書を大切に保管しなければ、将来一方が結婚の事実を否定した場合、配偶者対応の方法がなくなります。

 新規定が施行されると、結婚の際に盛大に披露宴を開いたとしても、書面に署名・捺印するのを忘れ、また証人に署名・捺印してもらうのを忘れると、結婚は無効となる可能性があります。たとえ、事後に署名・捺印したとしても、遡及効果があるかどうかは今後の最高裁判所の判決を待たなければなりません。

 台湾の過去の制度の規定では、公開の「結婚儀式」が行われれば、結婚は成立しました。また、儀式にはプロセスに関する決まった規定は無く、ただ双方が在席者に対して夫婦となる旨を宣言すれば、それだけで法律に規定された「公開儀式」となり得ました。

 過去の民法には結婚の際書面が必要との規定が無かったため、多くの問題が発生しました。新制度はこの問題の解決を目指していますが、少なくない問題もあります。

 例えば、新制度の規定では4人いれば結婚が可能となっていますが、これでは、本来結婚する気のなかったものまで、酒に酔ったなど何かのはずみで結婚してしまう事態が起きるかもしれません。また、結婚契約の保管・破損などの問題もあります。新制度下の結婚にもやはり儀式が必要で、個人的にはできれば盛大な方がいいと考えます。そして、結婚後はすぐに登記すべきでしょう。

 「渉外民事法律適用法」には、外国人と台湾人が結婚する際、結婚する場所が台湾の場合は台湾の法律を適用するとの規定があります。従って、読者の方々が台湾の人と結婚される機会があるのであれば、ある程度の理解は必要でしょう。


徐宏昇
 ’82年台湾大学法学部卒業。ビジネス関連法、特にハイテク産業の法務問題に精通し、多くの日系企業のクライアントを持つ。

徐宏昇弁護士事務所
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