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第6回 メールの法的効力


ニュース 法律 作成日:2007年8月15日_記事番号:T00002103

産業時事の法律講座

第6回 メールの法的効力

 
 現代社会においては、メールで商業取引を行うことは、皆さんの毎日の仕事の一部となっていると思います。また、多くの商業上のやりとりは、メールで約束が交わされればすぐに執行されます。
 
 しかし、何か問題が発生した際に、メールは証拠として、さらには「契約書」として使用することはできるのでしょうか。

 台湾の法律制度では、法律の規定に従って文章を作成した場合は、必ず「署名」をしなければならないという特徴があります。捺印でもかまいません。メールには確かに「署名」がありますが、それは書いた人が文章の内容に責任を持つという意味で記した「署名」とは異なるものですし、捺印とも異なります。

 メールの使用が日常的になってきたために設けられた、「電子簽章法(デジタル署名法)」中の規定では、「法律によって必ず署名または捺印をしなければならない場合、相手側の同意を得ればデジタル署名をもってそれを行うことができる」としており、これをもって「デジタル署名」を用いた文書が正式な文書となり得ることとなりました。しかし、一般のメールには「デジタル署名」は使用されていません。 

証拠効果はあり 
   
  実際はどのような形式で作成された文書であっても、製作者の意図が問題なく読み取れるものであれば、法律上の文書として扱うことができます。メールについても、作者が書いたものである以上、当然証拠としての効果はあります。

 法律に規定のある「必ず署名または捺印をしなければならない文書」とは、法律の規定により「書面」で法律行為を行わなければならないものを指します。例えば不動産の権利譲渡や結婚などです。大部分の法律行為については、法律は書面による明文化を求めていないので、文書の目的は証明のためであり、法律行為そのものではありません。従って、「法律的効果があるかどうか」という問題は、主に訴訟上の認定によりケースが異なります。

 商業取引に関して連続して交わされたメールの中で、ある事柄について話し合われていることが一目瞭然であれば、裁判所がその内容を採用する可能性は高くなるでしょう。

 訴訟においては、コンピュータに記録されているMSNやSKYPEなどのリアルタイム通信の通話内容なども、被告が有罪か無罪かの証拠としてよく使用されます。

予防策が必要  

 これらのことから、メールは法律上効力のある一種の証明文書であることが分かります。つまり、双方のメールによって形成された契約は効力があるわけです。しかし、もしメールが直接契約内容として見なされることを避けたければ、メールの中に「正式な契約条件は、将来双方が締結する契約書の内容とします」との一文を入れることで、権益を保護することができるでしょう。

徐宏昇弁護士

徐宏昇弁護士事務所
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