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作成日:2007年9月12日_記事番号:T00002605
産業時事の法律講座
第7回 知的財産権裁判所、近く開所へ
台湾の知的財産権訴訟制度に、近く大きな変化が訪れます。この9月中に、台北県林口に「知的財産裁判所」が新たに設けられ(施設が完成するまでは板橋市で業務を実施)、全土の知的財産権に関連する案件の審理を行います。
将来、知的財産裁判所での審理の対象となるのは、以下の案件です。
1)民事訴訟第一・二審の案件
一審は1人の裁判官によって審理が行われ、二審は3人の裁判官で審理されます。二審の判決に不服がある場合は、最高裁判所に上訴できます。知的財産権に関連する仮処分・差し押さえもこの裁判所で審理します。
2)刑事案件の第二審
知的財産権案件の刑事調査は地方裁判所の検察署が行い、一審は地方裁判所で審理されるまでは以前と同じです。ただし、上訴案件はすべて新たに設置される知的財産裁判所において審理が行われます。二審の判決に不服がある場合は、最高裁判所に上訴することができます。
3)行政訴訟第一審の案件
商標の登録・特許の申請および公平交易法に関する行政訴訟なども知的財産裁判所で審理が行われます。判決に不服な当事者は最高行政裁判所に上訴することができます。
力量発揮には時間
将来、知的財産裁判所が特許・商標の侵害案件を審理する際には、特許・商標の有効性を実質的に審査しなければなりません。
しかし、個別の案件における判断は、個別の案件に対しての効果しか持ちません。つまり知的財産裁判所が特許または商標の無効を宣告したとしても、それは永久に無効という訳ではありません。また、知的財産裁判所が知的財産権に関連する刑事事件を審理する際には、民事損害賠償に関する請求も審査を行わなくてはなりません。
知的財産裁判所の設置は台湾の訴訟制度の大革命であり、その目的は知的財産権案件の審理を集中・統一することにあります。しかし、当初審理するであろう案件はそのほとんどが特許申請・商標登録、およびコピーゲームソフトに関する案件であると考えられるため、知的財産裁判所がその本当の力を発揮するまでには、まだしばらく時間がかかることでしょう。
徐宏昇弁護士
徐宏昇弁護士事務所
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