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第9回 台湾の小切手問題


ニュース 法律 作成日:2007年11月7日_記事番号:T00003586

産業時事の法律講座

第9回 台湾の小切手問題

 
 小切手(支票)は支払いのための手段の一種です。通常、代金支払いの際に小切手を受け取るということは、現金を受領したことに等しいのですが、取引を行う相手の財務状況が芳しくない場合、小切手の受け取りには十分な注意が必要です。

 台湾では、小切手も一種の信用手段となります。いわゆる「遠期支票」の場合、受取手は相当の日数が経過した後にはじめて現金を受け取ることができます。しかし、債権そのものは現金を受け取る以前にすでになくなっているのに等しいのです。小切手の安全性を高めるため、法律は白地小切手に対して罰則規定を設けていますが、悪知恵のはたらく商人は、抜け穴を使い支払いを行わないばかりか、処罰までも免れてしまいます。

 台湾の銀行が小切手に対して支払いを行うかどうかは、小切手に押されている印章と、銀行に登録されている「印鑑」を比較して判断を行います。もし、小切手に押されている印章が印鑑と一致しなければ、支払いは行われません。

再発行で引き延ばし

 よくある例は、業者が小切手で支払いを行ったものの、そこに押されている印章が銀行に登録してある「印鑑」と異なっていたため、銀行は支払いを求めた人に対して拒絶し、小切手の振出人はその責任を小切手を発行した「小姐」や「会計」に押し付ける、というものです。このような場合、改めてもう一度小切手を振り出すことで、支払い期限の引き延ばしが可能になってしまうのです。

 受取人の会社名をわざと書き間違える、という支払い期限の引き延ばし技もあります。小切手の受取人がしっかり注意しなければ、裏書にせよ支払呈示にせよ、銀行で多くの問題に直面することになります。

 そうなった場合、結局、振出人の手を借りなければどうにもなりません。法律上は受取人の会社名を変えることは可能ですが、振出人の印章押印がどうしても必要となります。従って、振出人に内容の修正を申し出た結果、小切手が振出人の手元に戻ることになり、そのことが支払い引き伸ばしの理由となってしまう可能性があります。

太字にしたい文字
 
 台湾の小切手には有効期限があります。「票據法」の規定では小切手は振り出し日より1年後には、銀行は支払いをしなくてもよいとあります。つまり、小切手を受け取ったら、どんなことがあっても1年以上ほったらかしにしないで下さい。さもないと銀行に支払いを拒絶され、小切手はただの紙切れとなってしまいます。


徐宏昇弁護士事務所
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