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第4回 外国人専門職・技術者の台湾における就労制限の緩和


ニュース 法律 作成日:2012年10月8日_記事番号:T00039782

知っておこう台湾法

第4回 外国人専門職・技術者の台湾における就労制限の緩和

 行政院労工委員会(労委会)は今年6月、学士の学位を取得した外国人が台湾において、専門職または技術職に就労するには2年以上の実務経験が必要で、かつ月給は4万7,971台湾元を下回ってはならないという従来の規制を変更し、実務経験は必要なし、かつ大学卒業予定者の最低月給を3万7,619元とした。これにより、台湾に留学している外国人は、大学卒業後そのまま台湾で専門職または技術職に就職することが可能になった。なお、2年以上の実務経験を持つ者、または修士以上の卒業予定者の最低月給は4万7,971元で据え置いた。

 外国人の台湾における就労制限については、「就業服務法」第46条第1項(注)に規定されている。このうち、同項第1号の専門職または技術職については、従来は、外国人が台湾において被雇用者として専門職および技術職に従事するためには、台湾内外の大学の関連学部の修士以上の学位を取得するか、関連学部の学士の学位を取得し、かつ関連する業務に就いて2年以上の実務経験がなければならないと規定されていた。しかも、外国人が被用者として、専門職および技術職に従事する場合、その月給は中央主管機関が公告する額(4万7,971元)を下回ってはならないとされていた。このため、台湾に留学したほとんどの外国人は、台湾の大学を卒業しても2年以上の実務経験がないため、台湾で就労することができず帰国しなければならなかった。

 こうした制限の主な目的は、台湾人の就業機会を保障するとともに、台湾の雇用主がホワイトカラー(専門職、技術職)を雇用するという名目で賃金の低い外国人肉体労働者を雇用することを防止することだった。

シンガポール副首相の発言で一転

 しかし、2012年4月、シンガポールのターマン・シャンムガラトナム副首相兼財務相が講演で、シンガポールは外国人の就労を妨げるべきではなく、妨げれば台湾同様、優秀な人材が流出し、国民所得が減少すると指摘した。

 シャンムガラトナム副首相の発言は台湾世論の大きな反響を呼ぶとともに、台湾政府に従来の外国人就労制限規定の検討を促すこととなった。その結果、学士の学位を取得した外国人が台湾において専門職または技術職に就労するには、2年以上の実務経験がなければならず、かつ月給は4万7,971元を下回ってはならないという、それまでの制限が変更されることになった。

外国人の就労さらに容易に

 今年、台湾の大学を卒業した外国人は約5,000人を数え、今後は外国人による台湾での就労もさらに容易になると予想される。

(注)
台湾の就業役務法第46条第1項:
雇用主が外国人を雇用して台湾域内において従事させる職業は、本法に別途規定がある場合を除き、以下の各号に限る。

1.専門職または技術職

2.華僑または外国人が政府の認可を得て出資または設立する事業の役員

3.以下の学校の教師

(1)公立または政府機関における登録登記を行った私立の「大専」以上の学校または外国人学校の教師

(2)公立または政府機関における登録登記を行った私立の高校以下の学校における、資格を有する外国語課程の教師

(3)公立または政府機関における登録登記を行った私立の「実験高校」のバイリンガル学科またはバイリンガル学校の学科教師

4.補修教育法に基づき政府機関における登録登記を行った短期学習塾の専任外国語教師 

5.スポーツコーチおよび選手

6.宗教、芸術および演芸に関する職業

7.商船、作業船およびその他交通部が許可する船舶の船員

8.海洋漁労に関する職業

9.ハウスキーパー

10.国家の重要な建設工事または経済・社会の発展に対応するため、中央主管機関が指定する職業

11.その他、業務の性質が特殊であるため、台湾に当該人材が欠乏し、業務上、確かに外国人を雇用して業務に従事させる必要があり、中央主管機関が個別に認定した者 



黒田法律事務所・黒田特許事務所 

1995年に設立、現在日本、台湾、中国の3カ所に拠点を持ち、中国法務に強い。 現在、13名の弁護士、6名の中国弁護士、2名の台湾弁護士、1名の米国弁護士及び代表弁護士を含む2名の弁理士が在籍しており、執務体制も厚い。
http://www.kuroda-law.gr.jp/ja/tw/

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蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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