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第5回 外国企業に対する振興産業での投資規制の可能性


ニュース 法律 作成日:2012年10月15日_記事番号:T00039884

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第5回 外国企業に対する振興産業での投資規制の可能性

 2012年6月下旬、外国人投資条例の改正案が与党・国民党の孫大千立法委員によって立法院に提出された。同改正案によれば、今後、外国企業が台湾の特定の産業に属する企業に出資を行う際、経営権の取得を目的としたものの場合は、事前に主管機関の審査、許可を受ける必要があるとされている。

ガマニアの経営権争いが発端

 同改正案の提出は、オンラインゲーム代理販売などの台湾最大手、「遊戯橘子(ガマニア・デジタル・エンターテインメント)」と、韓国最大のオンラインゲーム会社である「ネクソン」との間の経営権争いに起因するものだ。

 ネクソンはガマニアの顧客で、ガマニアはネクソンの開発したオンラインゲームを代理販売している。ネクソンはガマニアの株主でもあり、07年時点でガマニアの株式を約10%を保有していたが、徐々に出資比率を引き上げ、11年には約21%を保有するに至った。さらに12年4月と5月に市場で積極的にガマニア株の取得を進め、持ち株比率は34%に達した。これはガマニア董事長である劉柏園氏の10%、および他の主要株主の持ち分を大きく上回っており、ガマニアの経営権は大きな脅威を受けることになった。

 ガマニアは11年に売上高70億元を記録した台湾ゲーム業界最大の株式公開会社であり、同業界で指標的な地位を持つ。そうした企業でさえ外国企業に経営権を取得されてしまうと、台湾のほかの中小ゲーム会社は容易に外国企業に合併・買収されてしまう恐れがある。

 新興産業を発展させる目標の下、ゲーム産業は長年にわたり台湾政府の支援と補助を受けてきたが、外国企業に合併・買収されると、この目標が水泡に帰してしまうことになる。このため、ネクソンによるガマニア株取得は、台湾メディアと世論の大きな注目を浴び、論議を呼ぶこととなった。その結果、台湾の新興産業を外国企業による合併・買収から保護すべきとの声が大きくなったことを受けて、外国人投資条例の改正案が提出されることとなった。

可決で届け出必須に

 同改正案は可決される可能性が高いとされているが、可決された場合、外国の出資者が特定の新興産業に属する企業に経営権の取得を前提に投資を行う場合、必ず主管機関に申請しなければならないことになる。

 特定の新興産業に何が含まれるのか、また、どの機関が審査を行うかなどの詳細な部分については、投資の業種の種類および管理規則・規範を別途制定する権限が付与される行政院が定めるとされている。



黒田法律事務所・黒田特許事務所 

1995年に設立、現在日本、台湾、中国の3カ所に拠点を持ち、中国法務に強い。 現在、13名の弁護士、6名の中国弁護士、2名の台湾弁護士、1名の米国弁護士及び代表弁護士を含む2名の弁理士が在籍しており、執務体制も厚い。
http://www.kuroda-law.gr.jp/ja/tw/

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蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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