ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

第17回 会社の設立登記、変更登記事項に対する主管機関の審査


ニュース 法律 作成日:2013年3月18日_記事番号:T00042621

知っておこう台湾法

第17回 会社の設立登記、変更登記事項に対する主管機関の審査

 最高行政法院は、2013年1月17日に13年判字第16号判決を下し、会社の設立登記、変更登記事項に対する主管機関による審査は、会社が提出した申請資料に対し形式的な審査を行うだけでよく、会社法の規定に合致してさえいれば登記を許可しなければならないことを強調した。

 同事件の被告は台北市政府で、原告は台湾のある有名旅客輸送会社の前董事長。事件の概要は以下の通りだ。

瑕疵による決議違法を主張

 当該旅客輸送会社は11年に臨時株主総会を開催し、改選の結果、董事長、董事や支配人などが新たに選任された。原告はこれに伴い更迭された。その後、新任の董事長は台北市政府に対して新董事長、董事、支配人などの登記事項変更の申請を行い、台北市政府は関連資料を審査の上、変更登記を許可した。

 しかし原告は、当該旅客輸送会社の臨時株主総会開催に当たり、一部の株主が適法な開催通知を受け取っていないため、そこでなされた改選決議は違法であり、よって台北市政府が行った変更登記も違法な登記であり取り消されるべきと提訴した。

 最高行政法院は審理の上、以下の通り判断した。

 「会社法第387条・第388条などの規定によれば、会社の登記については『準則主義』が採られている。つまり、主管機関は会社が提出した書面資料に対し形式的な審査を行い、法令の規定に合致してさえいれば、その登記を許可しなければならない。

 会社の設立登記または変更登記の真実性および法令に違反する場合の法律効果については、司法機関により認定される範囲である。本件において、原告が争っている臨時株主総会招集の問題は、瑕疵(かし)があったとしても、別途、裁判所に当該株主総会決議取消の請求をしなければならず、当該決議が取り消されるまでは依然として有効である。台北市政府が関連資料に基づき登記を許可した以上は違法ではないため、原告敗訴の判決を下す。」

 実務上、主管機関が会社の登記事項について詳細な調査を行わないことがあるため、台湾の会社と取引を行う場合は、その会社の登記資料を唯一の判断資料としないよう注意しなければならない。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

黒田法律事務所・黒田特許事務所

1995年に設立、現在日本、台湾、中国の3カ所に拠点を持ち、中国法務に強い。 現在、13名の弁護士、6名の中国弁護士、2名の台湾弁護士、1名の米国弁護士及び代表弁護士を含む2名の弁理士が在籍しており、執務体制も厚い。
http://www.kuroda-law.gr.jp/ja/tw/

日本・台湾・中国の法律はお任せ!
「ワイズリーガル会員」

http://www.ys-consulting.com.tw/legal/join.html

<お問い合わせ>
ワイズコンサルティング 
TEL:02-2528-9711
Email: member@ys-consulting.com 

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

知っておこう台湾法