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【一般公開】第111回 セクハラではないと判断した場合でも調査は必要か?


労務顧問 人事労務 作成日:2023年12月4日

判例

【一般公開】第111回 セクハラではないと判断した場合でも調査は必要か?

記事番号:T00111921

【係争事由】性別平等工作法第13条第2 項に違反する罰則に取消訴訟
【裁判所】最高行政裁判所
【案號】109年度上字第594号 行政判決 (2020年)
【判決日】2021年6月17日
【上告者】丙会社 【被上告者】新北市政府
【申立人】甲
【セクハラの容疑者】乙(会社の責任 者)
 
【訴訟の経緯】
甲は2016年5月から2018年7月まで、丙会社で行政秘書として雇用されていました。
乙は丙会社の責任者です。
甲は2018年7月26日に內容証明郵便を添えて、丙会社に対して乙からのセクハラを申し立てをしました。しかし、丙会社はセクハラの防止措置を適切に講じなかったため、甲は同年8月1日に新北市政府労働局に訴えを提起しました。  
調査の結果、丙は性別平等労働法第13条第2項に違反していると判断され、同法第38条の1に基づき10万台湾元の過料が科され、企業および責任者の名前が公表されました。
丙会社は上記の新北市政府労働局の処分に不服があり、新北市政府に訴願を提出しましたが、訴願の決定にも不服があり、順次台北高等行政法院に行政訴訟(一審)を提起しました。更に、一審判決に不服があり、最高行政法院に上告(二審)を行いました。
 
【上告者・丙社の主張】
1. セクハラ事件現場には乙、乙の妻と甲の3人しかいなかった。他の人はいないので、調査する必要もない。
2. 丙社は8月27、28日に従業員にアンケート調査を実施した。法的基準に従っており、対応に遅延はなかった。
3. 甲はこのセクハラ事件を理由に、乙に対して強制猥褻の刑事告訴を提出したが、その強制猥褻案件は既に無罪が確定した。
4. 労働局が過料を科す目的は、雇用主(乙)に事件の調査を要求する名目で、 被告(乙)に自己の罪を証明させるためだ。
5. この事件は本質的にはセクハラではな く、不倫の問題だ。これは民事裁判でに認定された。
 
【裁判所の判決】
丙会社の上告却下。
 
【裁判官の見解】
(一)性別平等工作法第13条第2項の義務内容: セクハラ事案が雇用主に知らされた場合、「即座に調査プロセスを開始するこ と」を含むもので、つまり、セクハラ事案の経緯を明らかにする必要がある。
(二)丙社がその義務を果たしていない:
1. 丙社が行ったアンケートは、従業員がセクハラを受けたかどうかを尋ねたものであり、この事件に関するインタビューではなく、事実を明らかにするのに役立たなかった。
2. また、上記のアンケート調査時間は8月27、28日で、事件の発生から既に1か月が経過し、即座かつ効果的とは言えない。
3. 法人と自然人は異なる存在であり、調査の義務は乙ではなく、丙社に課せられている。
4. 上記の法条に従えば、雇用主がセクハラの事案を知った場合、即座に調査のプロセスが必要で、問題がないと断定せず、調査プロセスを実施しなければなら ない。
5. したがって、丙社はセクハラの出来事に対して、即座に有効な是正措置を講じる義務を果たしていない。
 
【解説】
1. 本件は、企業がセクハラの有無を独自 に判断できないことを示しており、苦情が寄せられると、調査プロセスを開始しなければならず、かつ行為者が責任者である場合、調査プロセスでの関与を避けなければなりません。  
つまり、苦情が提出された後、調査プロセスは完全でなければならず、経営者自身でセクハラがないと判断し、調査を実行しないことは、性別平等工作法の義務違反と見なされ、過料および責任者の名前を公表される処分を受ける可能性が高いです。
2. 本件は、会社の責任者によるセクハラの事例であり、来年3月8日に施行される性別平等工作法では、新たに「職権によるセクシャルハラスメント」が定義され、企業の最高責任者や雇用主によるセクハラ事案は罰則が重いです。
更に、最高責任者や雇用主によるセクハラ事案に関して、被害者は主管機関に 直接申し立てをすることができるようになりましたので、企業には細心の注意を払い、防止体制を早急に整える必要があります。
 
 
本コラムで紹介する裁判結果は、数ある裁判の一判例にすぎず、絶対的なものではありません。個々のケースによって異なる判断が下されることをご了承下さい。​​

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