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第21回 台中市長選・多選批判は乗り越えられるか


ニュース 政治 作成日:2014年10月31日_記事番号:T00053554

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第21回 台中市長選・多選批判は乗り越えられるか

 投票日まであと1カ月を切った統一地方選挙の見どころは、台北市と台中市の両市長選の勝敗に絞られてきた。いずれも世論調査でリードしている対抗馬に、国民党候補が巻き返せるかという戦いだ。


胡志強候補(右)はユーモアで知られた名物市長だが、いよいよ長期政権に幕が下りるのだろうか(中央社)

 台中市は国民党の現職、胡志強候補(66)と民進党の林佳龍候補(50)の一騎打ちだ。世論調査では林候補が一貫してリードしている。国民党寄りの聯合報が30日掲載した直近の支持率調査では林候補45%に対し胡候補29%で、16ポイントもの大差が付いた。民進党寄りの自由時報による今月10日付の調査でも、林候補42.37%、胡候補24.76%の17ポイント差で、胡候補は厳しい状況だ。

 胡候補に対する批判で最大のものは、何と言っても多選に尽きる。胡候補が台中市長に就任したのは2001年12月で、間もなく満13年になる。台中市は10年に省轄市から直轄市へ昇格したため、胡候補は省轄市長として2期9年を務めた後、改めて直轄市長になって間もなく1期目4年を終えるところで、既に台湾地方自治史上、最も長期政権の首長となった。この上さらに4年間務めようというわけで、「台中市は『胡志強市』になってしまうのではないか。ベトナムの『胡志明市(ホーチミン市の中国語名)』と姉妹都市になったらどうか?」といった冗談も聞かれる。さすがに市民に飽きられており、「そろそろ新しい人に交代してもらいたい」という空気が生まれているのだ。

 胡候補の実績に対しても、「市主導による建設事業に見るべきものがない」との批判がよく聞かれる。前回10年の市長選で胡候補は、「都市交通システム(MRT)計画を4本から7本に拡大し、烏日文心北屯線(緑線)は15年に完成させる」との公約を打ち上げた。しかし、緑線は住民の反対運動もあり、開通見通しが20年にずれ込んでしまった上、台湾大道にはMRTではなくバス高速輸送システム(BRT)が先に開通した。こうした状況から、多くの市民がMRT公約は破られたと考えている。

地価高騰対策でも評価落とす

 台中市も地価が過去10年で2倍になった。この問題に対して無策だったと思われていることも胡候補への打撃となっている。胡候補は市政府周辺の中心商業地を「7期重画区」として再開発に取り組んだが、周辺には一般市民には手が届かない億ションが立ち並んだ。台中市による再開発計画は計14カ所に及ぶものの、再開発が地価高騰を助長するというイメージが定着した一方、低所得層向けの公営住宅「社会住宅」の供給に市は力を尽くしてこなかった。

 一方、胡候補には市内バスの8キロメートルまでの運賃無料措置やBRT、公共レンタサイクルiBike導入などによる交通改善、台中大都会歌劇院の建設(11月完成予定)、台中市精密機械科技創新園区の創設、緑化推進、治安の大幅改善など実績もある。台湾高速鉄路(高鉄)の開業、清泉崗国際空港(中部国際空港)の整備、中部科学工業園区(中科)の設置、県市合併など、台中市はこの10年で大きく発展したことは間違いない。それでも、胡候補の実績は任期の長さの割には少ないと考える有権者が多いのだ。

「台中山手線」の実現訴え

 胡候補の弱点がはっきりしているため、林候補は市政の交代に力点を置いた主張を繰り広げている。林候補が胡候補に挑むのは今回が2回目で、前回05年は2期目の陳水扁政権が相次ぐ汚職で人気を落としていたこともあって、胡候補に得票率19ポイント差の大差で敗れている。


李登輝元総統を迎えた林佳龍候補(右)。「台中山手線」は10年来の公約だ(中央社)

 林候補は90年の野百合学生運動の出身で、陳政権では総統府副秘書長や行政院新聞局長、行政院報道官いなどを歴任した。国民党への政権交代後、10年の台中市長選では民進党の蘇嘉全候補を選対本部総幹事としてバックアップ。12年1月の立法委員選挙には台中第6選挙区から立候補して当選。地元の地盤を固めてきた。

 政見では、既存の台鉄の山線、海線をつなぐ新規の鉄道路線を建設して台中一帯を結ぶ環状の「台中山手線」の実現や、豊原、台中港・台中国際空港・海外部、高鉄台中駅の3カ所の副都心建設による市の均衡ある発展、社会住宅1万戸の供給を訴えている。

 一方、胡候補も環状交通網の充実や市内全域への高速ネット配備などを訴えており、「残り1カ月で逆転できる」と意気込むが、親国民党紙の世論調査での16ポイント差を1カ月で逆転できた例は過去にないと思われる。台中市は全土規模での与野党勢力の消長に関係する重要な地域だが、今回は革新の訴えが継続を求める声を上回りそうで、林候補にとっては現在のムードをいかに持続させられるかが勝利の鍵になるとみられる。

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